あ~。館内にため息が漏れる一番に、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)が苦言を呈した。

優勝争いで横綱白鵬(36=宮城野)とともに全勝を守る大関照ノ富士(29=伊勢ケ浜)に挑戦した、平幕の千代大龍(32=九重)の相撲だ。立ち合いでフワッと立った千代大龍は、立ち合い不成立と自分で判断したのか、力をスーッと抜いた。だが立行司の式守伊之助の軍配はかえっており立ち合いは成立。照ノ富士は力を抜いた千代大龍を、そのままアッサリと寄り切った。

報道陣の電話取材に対応した八角理事長は開口一番に「お客さんがね…」と、しばし間を置いて「ガッカリするね、こういう相撲は。自分で(勝手に立ち合い不成立と)決めてはいけません」と断じた。照ノ富士の相撲内容を解説しようもない一番に、さらに「残念ですね、ああいう相撲は。お客さんがガッカリする。申し訳ないです」。照ノ富士を除く3大関は、貴景勝(24=常盤山)が途中休場、朝乃山(27=高砂)は出場停止、正代(29=時津風)はようやく3連勝で6勝目ながら優勝争いには加われない。大関とりの関脇高安(30=田子ノ浦)は途中出場、人気の遠藤(30=追手風)は途中休場と、いまひとつ盛り上がりに欠ける場所だけに、せめて熱戦の相撲内容が求められる。それに水を差すような一番に、協会トップも落胆の色を隠せなかった。