朝乃山の処分は軽減すべきか、否か? ツイッター(@ichiro_SUMO)で25日午前9時半から6時間、アンケートを行った。選択肢を3つ用意したところ合計3416票が集まり、以下の結果が出た。

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処分を軽減すべきでない=35・1%

処分を軽減すべき=59・3%

その他=5・6%

アンケートに協力していただいた皆さま、ありがとうございました。

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あらためて、朝乃山の処分について振り返ってみたい。日本相撲協会は昨年6月11日、当時大関だった朝乃山に出場停止6場所と6カ月50%の報酬減額の処分を下した。処分が重くなった要因はいくつかある。協会作成の新型コロナウイルス対策のガイドラインに違反し、外出禁止期間に計10回キャバクラに通っていた。このほかに3回の会食があった。当時、尾車コンプライアンス部長(元大関琴風)は「大関で模範にならないといけない地位ということも大きい。虚偽の報告をしましたよね。これが一番いけないこと」と説明した。協会の看板といえる大関であり、協会の調べに対して一時はウソをついたことが処分を重くした。

すでに朝乃山が出場停止となってから4場所が経過した。大関だった番付は十両まで下がり、処分通りに残り2場所を全休すると、7月の名古屋場所は三段目で復帰することになる。

今回、朝乃山の処分問題が相撲ファンの間で再燃したのは、24日の横綱審議委員会がきっかけだ。会合後に横審の矢野弘典委員長は委員から朝乃山についての意見があったことを明かし「どうしているんだろうと。6場所(の休場処分)は何とかならないのかな、という意見も出まして」「横審として意見があるわけではないんですけどね」などと話していた。

今回のツイッターでのアンケートには、多くの意見が寄せられた。コメント内容から賛否を判断し、一部を以下に紹介する。

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<処分を軽減すべきでない>

「『関取の地位を剥奪する("朝乃山さん"と呼ばれて、稽古場で黒回しをつける)』のが罰の目的だと思ってますので、本当の処分はこれからですね。『当初否定&大関』というと琴光喜を思い出しますが、”嘘をつく”と重くなるのは前からなので仕方ないかと。」

「行ってないですと嘘を付いたからそのまんま6場所出場停止で良いと思います。」

「阿炎関が処分されたのを知ってたのに、、、。ということもあるので軽減しない方が良いと思う。落ちた地位の位置にいる力士達の相撲人生も狂わせるということを忘れないで、勝って当たり前というプレッシャーにも負けないで心を鍛えて頑張って欲しい。復帰後には応援したいと思っています。」

「軽減すべきでないに投票しました。いずれにせよ、勝武士さんの事例も参考にし、角界にコロナが持ち込まれることの重大性および組織として正式な調査と手続きを踏んだ上で決めたことを覆す重大性を踏まえた上で決めるべきことです。」

<処分を軽減すべき>

「1年減給だけで良かったと思います。1年停止は流石に重すぎです。協会は世間の目を気にし過ぎ…観てくれる人がいてこその大相撲です。そもそも大して酷い行いでも無いと思います。」

「6場所出場停止(停止中は無給か減給)を継続のままで、十両最下位格張出しが良いと思っています。そもそもの処分が不当に重いとも思っています。」

「軽減すべき。反社会的行為をしたわけではないので。関取の立場が失われるだけで、もう充分禊は済んだと考えます。」

「出場停止は3場所程度にして、幕下からやり直し、最高の勝ち星をあげても優勝はなし。一年間、社会貢献活動をしてもらう(老人ホームや幼稚園、小学校慰問)。」

<その他>

「他の方も既に触れられていますが、どのケースでは処罰がどの程度になる、といったガイドラインを設けて公開し、処罰がある場合はそれに則って行うというのがいいと思います。それがない(あるのかもしれないけど見えない)から罰の軽重とか軽減の是非とかいうので揉めるので。公開されたガイドラインがあることで、力士側も『何をすればどういう処分が下るか』というのが可視化されるので、抑止力にもなる気がします。」

「『大関』という立場の問題もあるのでしょうが、何せ他との一貫性がない点が、ファンが一番モヤモヤしてるのではないでしょうか。これを機に、基準(この番付で、こういうことをしたら、こういう処分)を明確化する話はないのでしょうか?」

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アンケート結果では、「処分を軽減すべき」が約6割の支持を集めた。その中でも目立った指摘は、即復帰を望むというよりは、番付への問題提起だ。処分は本人の反省を促し、番付降下という罰が与えられる。しかし、復帰した際の対戦相手への影響が考慮されにくい状況にある。

朝乃山はケガで番付が降下したわけでないため、処分明けで復帰した時、本土俵での相撲勘は鈍っているかもしれないがほぼ大関の実力のまま三段目で相撲を取る。三段目、幕下は全勝優勝で通過するだろう(阿炎や竜電がほぼ証明している)。これから関取を目指す若い力士にとって、元大関との対戦はいい経験にはなるかもしれないが、まず勝ちは望めない。そんな取組は、そもそもファンが望んでいない。この問題は、処分が科された時から多くの親方衆が認識していたが、解決できないままだ。

ファンの声に応えて“恩赦”はあるのか? 現実を考えれば、その可能性は極めて低い。議論を重ねて科された処分ではあるが、実際に朝乃山が休場してからの日々を体感すると、やはり長い。せめて、今後への抑止力となり、苦い経験が今後の相撲界、理事会にとっての糧になればと願うばかりだ。

残念ながら起きてしまう不祥事は、法に触れたか否かはもちろん、力士の番付によっても協会側の受け止め方は異なる。まさにケース・バイ・ケースで、処分のためのルール作りは簡単ではないが、力士もファンも納得できる着地が求められる。今回のアンケートで多数のコメントが寄せられた事実は、好角家の気持ちの表れではないだろうか。【佐々木一郎】