20日の大相撲春場所中日(8日目)は、土俵だけでなく、放送での対決も熱い。同日は特に、大相撲を生中継しているNHKのテレビとラジオ、インターネットテレビのABEMAともに豪華出演者が予定されている。春場所中日の幕内実況と解説は次の通り。

▽NHK総合 実況:太田雅英アナウンサー 解説:正面=間垣親方(元横綱白鵬)、向正面=清見潟親方(元関脇栃煌山)

▽NHKラジオ第1 実況:小林陽広アナウンサー 解説=北の富士勝昭(元横綱)

▽ABEMA 実況:藤井康生アナウンサー 解説=花田虎上(元横綱若乃花)

3媒体ともに、相撲ファンに支持されている出演者がそろった。NHK総合は、安定感ある太田アナウンサーと間垣親方のコンビ。間垣親方はすでに解説デビューしているが、現役時代のエピソードをまじえながら、いかに相撲を奥深く考えていたかがよく伝わってくる。相撲ファンの評判もいい。清見潟親方の解説も、その実直さが受け入れられている。

NHKラジオ第1は、北の富士氏が自由奔放に語る。テレビよりも衣装も語りもいい意味でカジュアルになり、枠にはまらない北の富士氏の良さが生きる。コミュニケーション力の高い小林アナウンサーが、北の富士氏を気分良く乗せてコメントを引き出すだろう。

ABEMAには、1月末でNHKを退局したばかりの藤井アナウンサーが初登場する。ABEMAでどういう実況をするのか注目度は高い。解説の花田氏のことは現役時代から知っており、思い出話も盛り上がりそうだ。

メディア間の戦いと言っては大げさだろうか。NHK総合は「平成の大横綱」の元白鵬、NHKラジオ第1は「解説界の横綱」の北の富士氏、ABEMAは「実況の横綱」藤井アナが、同時間帯に異なる媒体で登場する。相撲ファンにとっては、うれしい悩みになる。【佐々木一郎】