超良血の“サラブレッド”が大関3連破をやってのけた。祖父が元横綱琴桜、元関脇琴ノ若の現・佐渡ケ嶽親方を父に持つ西前頭2枚目の琴ノ若(24=佐渡ケ嶽)が、軍配差し違えで大関御嶽海を突き落としで破り、初日から3日連続で大関を撃破。4日目は横綱照ノ富士に挑むホープが、荒れる夏場所の“顔”となってきた。3大関すべてに土がついたが、横綱照ノ富士は2連勝で白星先行とした。

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勢いとは恐ろしい。1度は相手に向けられた軍配を自分の方に返させた。

大関を連破した琴ノ若がこの日も御嶽海に挑んだ。相撲の流れは完全に大関。しかし、大きな体では意外に思える土俵際での器用さが際立つ。右足を俵に残し、逆転の突き落としを見舞った。行司・木村玉治郎の軍配は御嶽海も物言い。協議の末、軍配差し違えを説明したのは初めて幕内後半戦の審判長を務めた父で師匠の佐渡ケ嶽親方だった。

「攻め込まれていたけど最後、しっかり残せたのはよかったと思います。自分も攻める姿勢を忘れずにいったつもりなので、間合いがうまく作れたのかも。正直、夢中でとっていたので記憶にないんですけど」

系譜される「血」の勝負強さか。父は元関脇で祖父が元横綱。先場所も11勝で千秋楽まで優勝争いに絡んだ。受け継がれた名力士としての確かなDNAは、開花の時を迎えつつある。

「1日1日思い切ってやればしっかり結果はついてくる。自分の相撲を貫いていけばいいかと思っています」。勢いに乗って4日目は横綱照ノ富士に挑む。「特別なことはなく、いつも通り自分のやるべきことを貫きたい」。荒れる5月場所、大混戦。その主役候補として24歳のサラブレッドが最高のスタートダッシュを決めた。【実藤健一】

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