大関経験者の東幕下15枚目朝乃山(28=朝乃山)が、21年学生横綱で幕下15枚目格付け出しデビューの川副(23=宮城野)を寄り倒しで下して白星発進した。

ファン注目の一番を制し、来場所での再十両を確実とする、幕下15枚目以内での7戦全勝に向け、歩み出した。

取組編成会議が行われた9日に、川副との対戦を知ったという。「川副君は15枚目格付け出しで力がある。昨日も一昨日も(川副の)大学での取組を見た。土俵際でのうっちゃりとか技を見た」と研究して臨んだ一。

右を差して左上手を取りにいく盤石な体勢を作ると、ここから慌てずに前へ。追い込んだ土俵際では、上半身を大きく反って粘られたが、逆転のうっちゃりを警戒しながら丁寧に寄り倒した。

6場所出場停止処分が明けた7月の名古屋場所で三段目全勝優勝を果たし、今場所は東幕下15枚目まで番付を上げた。

7戦全勝とすれば、11月の九州場所での再十両が確実になる。「先のことは気にせずに取組のある日は本土俵で取らせていただけることへの感謝の気持ちを忘れずにいきたい」と、名古屋場所同様に土俵に上がれることへの感謝の思いを口にした。

この日も花道に登場した時には観客から大きな拍手を受け「先場所よりは拍手とか歓声とか、人も多かったように見えます。うれしいし、力になります」と振り返った。

場所前の8月29日に、同部屋の十両朝乃若が新型コロナウイルスに感染した。その後の検査で朝乃山らは陰性だったが、相撲を取る稽古が再開できたのは初日の1週間前からだったという。それでも「(部屋に)トレーニングルームがあるので、そこで体を動かしたり柔軟をしたり、基礎運動はきっちりやりました」とやれるだけの準備は進めてきた。

再十両が確実となる全勝に向けて歩み出した朝乃山は「まだ初日。あと6番あるのでしっかり気を引き締めて自分の相撲を取りきるだけ」と語って、会場を後にした。