幕下15枚目格付け出しの落合(19=宮城野)が、7戦全勝で幕下優勝した。七番相撲で西幕下40枚目の風賢央(23=押尾川)との全勝対決を突き落としで制した。これで所要1場所での「史上初&最速」での十両昇進へ前進した。

「素直に優勝できたことがうれしい。目の前の相手に準備した結果が、運良くこうなった。デビュー場所が楽しかったです」

落合は鳥取城北高時代に2年連続で高校横綱に輝いたが、卒業してすぐに角界入りせず、肩のけがを治すことに専念した。母校の近くで1人暮らしをしながら、大相撲の世界に入る準備に充てた。朝はリハビリに行き、昼はジムでトレーニング、夕方からは母校で高校生たちと一緒に稽古。「強くなるための生活をしてきた」と自信を深めた。

昨年9月の全日本実業団選手権を制し、幕下15枚目格付け出し資格を得た。宮城野部屋に入門し、迎えたこの初場所がデビュー場所。一番相撲こそ対戦相手の休場で不戦勝となったが、本土俵で実際に相撲を取った二番相撲以降は、新弟子とは思えない安定感で連勝街道に乗った。

日本相撲協会には「幕下15枚目以内の全勝力士は十両昇進の対象とする。ただし番付編成の都合による」との内規があり、全勝優勝した落合の十両昇進に期待が高まる。2006年5月の夏場所で落合と同じ幕下15枚目格付け出しの下田もデビュー場所で同じく7戦全勝で優勝したが、番付運に恵まれずに十両昇進はかなわなかった。

十両昇進か否か。場所後の25日に行われる来場所の番付編成会議で決まる。落合は「その辺はまだ分からないので、また明日から稽古を頑張りたいです」と話していた。

◆落合哲也(おちあい・てつや)2003年(平15)8月22日、鳥取・倉吉市生まれ。小学生の時にサッカーに打ち込み、ポジションはFWとGK。父勝也さんに勧められ、鳥取・成徳小4年から相撲一本に。鳥取城北高2、3年時に高校横綱。モットーは「土俵の上で強く、土俵を下りたら優しい力士」。179センチ、156キロ。得意は突き押し、左四つ、寄り。

◆幕下付け出し 学生、アマ時代に実績を残した力士が入門する際、デビューする地位を優遇する制度。通常は前相撲をへて序ノ口に番付されるが、実績によって三段目100枚目格付け出し、幕下60枚目格付け出し、幕下15枚目格付け出し、幕下10枚目格付け出しとある。落合の幕下15枚目格付け出しの条件は全日本選手権、全国学生選手権、全日本実業団選手権、国体(成年男子)のいずれかでの優勝。落合は全日本実業団選手権を制した。

<幕下付け出しアラカルト>

◆付け出し 学生、アマ時代に実績を残した力士が入門する際、デビューする地位を優遇する制度。通常は前相撲をへて序ノ口に番付されるが、実績によって三段目90枚目格付け出し、幕下15枚目格付け出し、幕下10枚目格付け出しとある。

◆幕下15枚目格付け出し 過去に19人。条件は全日本選手権、全国学生選手権、全日本実業団選手権、国体(成年男子)のいずれかでの優勝。落合は全日本実業団選手権を制した。デビュー場所を7戦全勝で優勝したのは過去に日大出身で06年夏場所の下田(のち若圭翔=追手風)。翌場所は西筆頭に据え置かれて2勝5敗と負け越した。結局、関取には上がれず、16年春場所を最後に引退した。

◆全勝で十両昇進 過去に幕下付け出しから無敗で十両に昇進したのは元横綱輪島、元大関武双山(現藤島親方)、元大関雅山(現二子山親方)の3人だけ。日大出身の輪島は60枚目格付け出し7戦全勝→東8枚目7戦全勝。専大出身の武双山は幕下付け出し7戦全勝→東8枚目7戦全勝。明大出身の雅山は幕下付け出し7戦全勝→西6枚目7戦全勝。

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