大関経験者で西十両12枚目の朝乃山(28=高砂)が、1敗対決を制した。東十両5枚目の金峰山(25=木瀬)を突き落としで下し、単独トップに立った。

物言いが付くきわどい判定になったが、審議後も軍配は変わらず勝ち名乗りを受けて12勝目。「相手が勝っているか、運が良ければもう一番という気持ちでした。勝ちは勝ちですが、相撲内容は納得いってないです」と振り返った。

対戦相手の金峰山について「一回り大きい相手で、まわしを取れないと思った。突いていったので、僕も下から、下からあてがって攻める気持ちでした。相手の突きを受ける形になったのが反省点ですが、あの突き押しも思いっきりやった結果です」と冷静に受け止めた。続けて「1敗してから吹っ切れた。きょうもチャレンジャーの気持ちで、思い切って楽しんでいこうという気持ちでした」。優勝を占う一番を制したが、「周りのことを自分との闘いです」と気を引き締めていた。

朝乃山は初日に貴健斗(常盤山)を下し、関取として599日ぶりの白星を挙げた。大関だった21年5月19日の夏場所11日目(隆の勝をすくい投げで退けた)以来となる勝利で、再十両を果たした場所で好スタートを切った。

勢いそのままに白星を重ねて序盤戦5戦全勝で終え、中盤戦に入った6日目に狼雅(二子山)を退けて単独トップに。7日目に島津海(放駒)、8日目に豪ノ山(武隈)を撃破し、十両復帰場所で初日から負けなしの8連勝とし、大関だった20年7月場所以来となる3度目のストレート給金を達成。十両で勝ち越すのは17年7月の名古屋場所以来、約5年半ぶり。さらに9日目に北の若(八角)、10日目に東白龍(玉ノ井)を下し、負けなしの10連勝としていた。11日目に大翔鵬(追手風)に敗れて初黒星を喫したが、12日目に湘南乃海(高田川)を下し連敗はしなかった。

「15日間相撲を取れることへの感謝を忘れない」との気持ちを持ちながら土俵に上がり、新しい顔ぶれがひしめく十両でも大関経験者としての実力を見せつけている。全勝または1敗での優勝なら十両1場所通過、来場所での幕内の可能性も十分ある。優勝を争う大一番を制し、十両優勝へ白星を積み重ねるだけだ。

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