日本相撲協会の諮問機関である横綱審議委員会(横審)の定例会合が、大相撲初場所千秋楽から一夜明けた23日、東京・両国国技館で開かれた。

会合では、昨年11月の大相撲九州場所で優勝同点、そして先の初場所で13場所ぶり3度目の優勝を、12勝3敗の成績で収めた大関貴景勝(26=常盤山)の綱とりについて、あくまでも今回の会合前の雑談ではあったが「諮問があってもいいのではないか」と話す一部委員がいたが、高村正彦委員長(80)は「『レベルの高い優勝じゃないから、それはちょっと』という意見が圧倒的だったと思います」と説明した。

横審の内規で、横綱推挙の条件として「大関が2場所連続で優勝もしくは、それに準ずる成績を挙げた者」となっている。昨年九州場所後の横審では、横審から日本相撲協会側に「今度の貴景勝の場合も、それに形の上では該当するか」と確認したところ、同協会側も「形の上では該当する」と返答。高村委員長は「相当、次の場所で良い成績で優勝するというようなことを考慮することになるのではないか。こういうようなお答えがあったと思ってます」と話していた。横審の中に「形の上」では今回、諮問があってもいいのでは、の声が一部であったが、全勝優勝などハイレベルを求めたのは共通認識だったと思われる。

その上で、初場所での貴景勝について高村委員長は「私もハイレベルの優勝というわけにはいかなかったけれども、大変な重圧の中で、その重圧を感謝と喜びに変えてしっかり相撲を取ってもらって、大関の責任をしっかり果たしてもらったと、そういう面では評価している」と重責を果たした大関を評価。さらに「そして、全力士の中で貴景勝が横綱に一番近い位置にいるということは、これは間違いないこと。引き続いて重圧があるだろうけども、それを感謝と喜びに変えて、しっかり相撲を取ってほしい」と会合で話した。さらに来場所の綱とりの位置付け、求められるラインについては、諮問される立場であることから「そういう話は全くなかった。結果を見てからの話でしょう」と静観の姿勢を示した。