大関経験者で東十両5枚目の栃ノ心(35=春日野)が、引退届を提出、受理されたことを受けて、師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)同席で会見を行った。会見で師匠への思い、母国ジョージアのファンへの思いを問われると、涙を流す場面もあった。

栃ノ心は、春日野親方が現役時代に使用していた締め込みを譲り受けており、今場所着用していたものが3本目だった。「師匠の締め込みを締めたことは、それだけでもうれしかった。稽古は厳しく、普段はやさしく育ててもらいました」と、師匠に感謝していた。

その時点で、すでに涙ぐんで小声になって話していた。そこから、ジョージアのファンへのコメントを求められると、一段と涙があふれてきた。「本当に、感謝の気持ちしかないですね」と、絞り出しながら話した。

そもそも「日本の心を持ってやってほしい」という願い込め、名付けられた「栃ノ心」というしこ名。栃ノ心は「最初は(しこ名の)意味も知らなかった。時間がたって、意味が分かってきた。これからもキレイな心を持って生きていきます」と誓った。春日野親方は愛弟子について「強い力士だった。私が育てた中で1番強かった。精神的にも強かった」と、現役中は本人に聞こえるように褒めることは、ほとんどなかったが、この日は真横で絶賛した。同親方は続けて「言葉の壁もあったが、まさに『心』は磨かれたと思う。本人に頑張ろうという気持ちもあったし、稽古相手にも恵まれた。部屋として、みんなで上げた大関だった」と、誇らしそうに胸を張って話していた。