日本相撲協会は31日、東京・両国国技館で大相撲名古屋場所(7月9日初日、ドルフィンズアリーナ)の番付編成会議を開き、十両昇進力士5人を発表した。28日まで行われた夏場所を、西幕下筆頭で5勝2敗だった川副は、輝鵬(きほう、24=宮城野)と改名し、新十両昇進が決定。両国国技館で師匠の宮城野親方(元横綱白鵬)同席で会見した。会見では「こうやって皆さんが、カメラで撮られているので『関取になったんだな』というのを実感します」と、うれしそうに話した。ただ、すぐに「1つの目標は達成した。これから幕内、三役と、まだ上がある。そこを目指しているので、上がある限り、まだ満足はしてないですね」と、表情を引き締め直した。

「輝鵬」のしこ名は、夏場所11日目に勝ち越した夜に決めたという。当初は宮城野親方が考えた、しこ名候補が10もあったというが、最終的に本人が決めた。「輝鵬という名前の通り、輝くという字がついているので、もっともっと輝いていけるような力士になっていくのが、この名前にふさわしい力士。これから、どんどん輝いていけるように頑張っていきたいです」と、力を込めた。

21年に学生横綱に輝き、日大から幕下15枚目格付け出しとして、昨年秋場所で初土俵を踏んだ。そこから5場所全て勝ち越しているが、いずれも4勝か5勝と大勝ちはなく、1年かけて関取となった。その間に、後からデビューした弟弟子の落合(名古屋場所から伯桜鵬)が、所要1場所で新十両に昇進し、来場所は新入幕も決定的と先を越された。「本当に悔しかった。でも結果が全ての世界。ここから追いついて、追い抜いて、絶対に上に行ってやるという思いがある。(落合には)すごいなという尊敬の思いもある。仲もいい。でも、相撲は絶対に超えてやると思っている」と、並々ならぬライバル心をのぞかせた。

今場所前、左足の甲を骨折していた。それでも「ケガしている人は多い。そんなことを言っている場合じゃない」と、出場を志願したが、初日に黒星発進した。そこで宮城野親方に「受ける相撲を取らない方がいい。自分から攻めるように」と、アドバイスをもらった。それまで土俵際での逆転が多かった相撲が、先手を奪い、白星を重ねた。輝鵬は「ケガしない相撲は、前に前に出る相撲。攻める相撲は1つ上のステップになった」と、新境地に達した心地だという。

宮城野親方は「前に出る力は、炎鵬や、もしかしたら伯桜鵬よりもあると思っている」と、潜在能力の高さを買っている。輝鵬は「これから宮城野部屋は、すごい部屋になっていくんじゃないかなと思っていて、稽古も充実している。もっともっと強くなれると、自分の中ではある。これからもっと強くなっていきたい。相撲界に入ったからには、横綱という地位が頂点なので、そこを目指して頑張っていきたい」と力説。夏場所で存在感を示した前頭北青鵬、十両伯桜鵬に負けじと、新十両場所での飛躍を誓っていた。