大関霧島(27=陸奥)が、今年春場所以来4場所ぶり2度目の優勝を飾った。ただ一人1差で追う熱海富士が関脇琴ノ若に敗れ取組前に優勝が決まったが、気を緩めず結びで完勝。大関貴景勝を突き落として自己最高の13勝2敗で終え、年間最多勝も62に伸ばした。モンゴル勢の優勝回数も、通算100度目の節目。大関昇進後初めての賜杯を手にし、昇進4場所目の来年初場所(1月14日初日、東京・両国国技館)で初めて綱とりに挑む。

 

霧島の冷静さは最後まで崩れなかった。取組前に1差の熱海富士が敗れて優勝が決まっても、「やるべきことをやる」。貴景勝との結びの一番に向けて集中。2度目の立ち合いで左手を出しながら頭で当たり、相手の出足を止めた。すぐさま右に体を開いてタイミング良く突き落とした。自身最多13勝目。今年62勝目で初の年間最多勝。2度目の優勝インタビューでは「幕内最高優勝は大関霧島」のアナウンスが館内に響いた。来年4月に定年を迎える師匠の陸奥親方(元大関霧島)が約33年前(91年初場所)に優勝したしこ名を継承後、初の賜杯。師弟で臨む最後の“ご当地”九州場所に花を添えた。

「親方にとって最後の九州場所だから、多くの人から『優勝してね』と言われていた。霧島というしこ名をもらって初めての優勝ですからね。うれしいです」と万感の思いを口にした。昇進4場所目の来場所は綱とりとなる。江戸時代から数えて73人しかいない番付頂点の横綱。入門以来憧れてきた地位を手にするべく、すでに今場所中から準備は静かに始まっていた。

“綱ロード”に寄り添ってくれているのがコンディショントレーナーの八代直也氏だ。元横綱・鶴竜親方の現役時代にもトレーナーを務め、4年ほど前から霧島の体調管理全般を担当。今場所中にも福岡市内の陸奥部屋に駆け付け、ゴムバンドを使った地道なトレーニングを促してくれた。小さな筋肉を鍛えることで、相撲にいきるしなやかな動きを得る必要性を説いたのは、横綱昇進後にケガに泣いた鶴竜の苦い経験があるから。限られた現役生活の中で元気な体で全盛期を長く継続してほしいという願いに、霧島の心も勇気づけられている。

トレーナーの下でパワーアップを遂げ、現役関取衆の中でも随一の豊富な稽古量で備える。自信を持って年始の勝負の場所に挑むべく、「今までもこれからも稽古しかない。自分のできることを全部やっていく」と力を込めた。【平山連】

 

◆霧島鉄力(きりしま・てつお)本名ビャンブチュルン・ハグワスレン。1996年4月24日、モンゴル・ドルノドゥ生まれ。体験入門を経て15年夏場所で初土俵を踏み、19年春場所で新十両昇進。20年初場所で新入幕。23年名古屋場所で新大関。優勝2回、技能賞3回、敢闘賞1回。愛称は「ハグワ」。好きなアーティストは長渕剛。得意は左四つ、寄り、投げ。186センチ、145キロ。

 

師匠の陸奥親方(元大関霧島) (約33年ぶりの“霧島優勝”に)あっぱれです。いい親孝行をしてくれた。(2敗後に)自分の相撲を取って負けたら仕方ないと話した。(若い頃)何度も「帰れ」と言ったが本人がよく我慢した。もう1つ上の番付に行くには、もっと稽古をすることです。

 

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