大相撲の第74代横綱豊昇龍(25=立浪)が“初仕事”を堂々と務めた。1月31日、東京・明治神宮で横綱推挙状授与式に続き、雲竜型の奉納土俵入りを披露。太刀持ちに平戸海、露払いに明生を従えて約3500人の前に登場。雲竜型の先輩でもある叔父で元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏(44)に堂々とした姿を見せた。春場所(3月9日初日、エディオンアリーナ大阪)では2場所連続優勝を飾り、文句なしの強さも見せつける。

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重さ7・8キロもある真新しい綱を締めながら、豊昇龍は四股を踏む足を高々と上げ、力強く大地を踏みしめた。目の肥えたファンからの威勢のよい「よいしょ!」の掛け声が、横綱らしい所作をしていた何よりの証明だった。最大の見せ場のせり上がりも完璧。右手を斜め前方に出し、左手の先を脇腹に当てた体勢のまま、深く降ろした腰を徐々に持ち上げた。叔父の元朝青龍も、夢中でスマートフォンで撮影するほど前のめり。早すぎず遅すぎず、1分35秒の土俵入りだった。

おごそかな雰囲気で行われた横綱推挙状授与式に続き、初体験の連続に「緊張した」と、ホッとした表情で話した。それでも「しっかり練習したので。自分の中でも、ちゃんとできたのかなと思っています」と、上々の自己評価だ。前日1月30日に、同じ出羽海一門の武蔵川親方(元横綱武蔵丸)から雲竜型の指導を受けた。「いろんな人の動画を見た」と、イメージトレーニングも行っていた。

くしくも22年前の同じ日に、叔父の元朝青龍も明治神宮で奉納土俵入りを行っていた。「同じ日にやることができてよかった。縁があるんじゃないですか。同じ日って、なかなかない」と喜んだ。横綱昇進を機に昨年来の不仲が解消された叔父は、前日にモンゴルから急きょ来日していた。

1カ月余りで、新横綱として臨む春場所が始まる。昨年九州場所が13勝2敗の優勝次点で、1月の初場所は優勝したが、12勝3敗。昇進前2場所は合計25勝止まりで、連続優勝でもないことに、物足りないという一部のファンの声は根強い。そんな声を封印するためには連続優勝が近道。稀勢の里、照ノ富士と、直近の2人が新横綱場所で優勝している。3代連続に向けて「しっかり自分らしい姿を見せていきたい」と力説。“満点”の土俵入りに続き文句なしの強さも見せつけるつもりだ。【高田文太】

○…豊昇龍の最初の土俵入りは、太刀持ちを同じ出羽海一門の平戸海(境川)、露払いを同部屋の兄弟子明生という2人の前頭が務めた。中卒たたき上げの2人は、豊昇龍と同様に初体験とは思えないほど、終始落ち着いた所作。土俵入りを終えた2人は「ありがたいこと」と、同じ言葉で振り返った。平戸海は「間違えないように気をつけた。声をかけてもらえて、よかった」と感謝。明生も「いい経験になった」と、自身の活力にもなったと話した。

最近3横綱の奉納土俵入り

◆鶴竜(14年3月28日) 晴天の下、約3300人の前で雲竜型を披露した。化粧まわしは当時の北の湖理事長(元横綱)から借り受けた。太刀持ちは勢、露払いは鏡桜が務めた。

◆稀勢の里(17年1月27日) 19年ぶりの日本出身横綱を一目見ようと平日にかかわらず約1万8000人の大観衆が訪れた。太刀持ちに高安、露払いに松鳳山を従え、雲竜型を披露。

◆照ノ富士(21年8月24日) 新型コロナウイルスの影響で約1カ月延期されて実施。無観客で行われ、約3000人がオンライン視聴した。不知火型で太刀持ち宝富士、露払い照強。