西前頭4枚目の一山本(31=放駒)が横綱豊昇龍を破り、初土俵から8年目で初金星を挙げた。相手の強引な投げをこらえ、逆にすくい投げで転がした。公務員から角界に転身した異色の経歴を持つ力士が、初めての結びの一番で大仕事。北海道出身力士の金星は84年九州場所の保志(後の北勝海・現八角理事長)以来41年ぶりとなった。9日目を終えてトップは1敗の大関大の里と平幕高安の2人。両者は10日目に激突する。
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土俵生活8年目にして初めて上がった結びの土俵で、一山本が大仕事を果たした。横綱豊昇龍を倒して初金星。大量の懸賞袋を両手で受け取り「気負いなく、いつも通り相撲を取れた」。相撲どころ北海道出身の道産子力士としては、84年九州場所で北の湖を破った保志以来41年ぶりの金星となった。
立ち合いで相手が張り差しでくることは想定内だった。左を差すと、横綱の掛け投げをこらえ、すぐさますくい投げを打ち返した。「投げがくるのはわかっていた。しっかり対応できた」。結びの一番での取組を終え、「これで今日の相撲がすべて終わるんだなと思うと、不思議な感覚だった」と感想を口にした。
公務員から角界に転じた異色の経歴の持ち主だ。中大卒業後は地元の北海道福島町役場に勤務。新弟子検査の年齢制限が緩和され、適用第1号力士として23歳で大相撲の世界に入った。食の好みも相撲界では異例。朝稽古後はちゃんこ鍋を食べるのが一般的だが「僕は朝食はパンです。パンが好きなんで」と明るく説明する。
8日目は大関大の里に善戦し、9日目は横綱撃破。そして10日目は大関琴桜と対戦する。看板力士との取組が続くが「何も考えずに当たるだけ」。自己最高位の番付でのびのびと相撲を取っている。【奥岡幹浩】

