最初の夢をつかんだ。日本相撲協会は26日、夏場所(5月11日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を行い、西幕下3枚目の夢道鵬(23=大嶽)の新十両昇進を発表。祖父は「昭和の大横綱」大鵬で、父は元関脇貴闘力、兄は関脇王鵬という相撲一家に育った4人兄弟の末弟は、大阪市内で会見した。入門時の夢だった関取となり、幕内、さらには横綱という目標を掲げ、飛躍を誓った。宮城改め宮乃風(26=中村)、三田(23=二子山)の新十両、大奄美(32=追手風)の再十両昇進も発表された。
◇ ◇ ◇
偉大な祖父との約束を果たした。夢道鵬は幕下優勝した1月の初場所後、故大鵬さんの墓前に「今場所で決めます」と誓っていた。迎えた今月の春場所を、西幕下3枚目で4勝3敗。昇進できるかどうかは当落線上で、この日、午前8時から番付編成会議が始まっても、しばらくは連絡はなかった。午前9時前、師匠の大嶽親方(元十両大竜)のもとに、協会から電話で吉報が届いた。夢道鵬は「泣くほどうれしかった。全身全霊で、全部勝てるように頑張りたい」と、新十両場所への思いを力説した。
しこ名に入る「夢」は、大鵬さんが好きな言葉だった。自身が11歳の時に72歳で他界した、史上2位の優勝32度の祖父は「普通にやさしいおじいちゃん。怒られたことがない」と、大好きだった。その祖父に1歩近づく関取の仲間入りで入門時の夢をつかんだ。次の夢は「幕内に上がること」といい、最終的な夢は「横綱になること」と語った。
4人兄弟で2歳上の三男王鵬は「小さいころから一番勝ちたい相手」だった。だが、幼少期から今も勝てないままで、近くて遠い存在。春場所で黒星発進すると「さばきにいっている。お前の相撲じゃない」と、しかられた。付け人を務めた兄弟子として突き、押しの本来の相撲を忘れ、安易に白星を拾おうとする姿勢を指摘されて目が覚め、勝ち越しにつなげた。「兄を追い掛けていたら十両に上がることができた。これからも追いかける」。“大鵬の孫”に加え、兄弟関取となり、注目度は一段と高まる。その中で「あとは僕が頑張るだけ」と目指すは兄弟同時三役。「夢」の続きは果てない。【高田文太】
◆夢道鵬幸成(むどうほう・こうせい)本名・納谷幸成。2001年(平13)9月18日生まれ、東京・江東区出身。5歳から相撲を始め、中学3年時に関東大会3位。埼玉栄高では団体戦のレギュラーではなかったが、同高の山田監督からは「プロ向き」と大器晩成の太鼓判。「大鵬道場」の看板が掲げられる大嶽部屋に入門し、19年九州場所で初土俵。序ノ口、序二段をともに6勝1敗で通過し、20年7月場所は、三段目で7戦全勝の優勝同点。初土俵から所要4場所で幕下昇進を果たしたが、その後は一進一退。今年初場所で初の各段優勝となる幕下優勝を飾った。4人兄弟の末弟で長男はプロレスラー、次男納谷は三段目、三男王鵬は関脇。185センチ、149キロ。

