新横綱大の里(25=二所ノ関)が、執念の白星で優勝争いに踏みとどまった。関脇霧島に、もろ差しを許して寄り立てられる、絶体絶命の展開から大逆転。23年夏場所の初土俵以来、通算190番目で初の決まり手、上手ひねりで勝った。前日10日目は前頭玉鷲に金星を配給。横綱昇進後として初の連敗を阻止して最初の勝ち越しを決め、トップに1差の3敗を守った。

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勝っても負けても、決着は短時間だった大の里が珍しく、粘りに粘った。負ければ優勝争いから脱落の4敗目と、背水の陣で臨んだ2敗の霧島戦。右かち上げの立ち合いから、ガムシャラに前に出た。ただ、気迫が前面に出た分、隙をつかれてスパッともろ差しを許した。そこから寄り立てられ、何度も上体を起こされた。それでも、つかんだ右上手は最後まで離さない。左おっつけ1発で吹っ飛ばすパワーで打開し、自身初の上手ひねりで仕留めた。

取組後は「不利な形になったけど、引っ張り込むのを我慢して、じっくり攻めたのがよかった」と、自己分析した。これまでの大の里になかった「我慢」「じっくり」という、立ち合いの良しあしに左右されず、執念で拾った白星に満足感を漂わせた。この日の12秒2は今場所初の10秒超え。前日10日目までの平均3秒8を大きく上回っていた。

初土俵から190番目で初の決まり手、上手ひねりも「狙っていたか」の質問に「そうですね」と明かした。「ロックしていたので封じ込めていた」と、もろ差しを許しても、きめるようにして挟みつけ、自由には動き回らせず、逆転のチャンスをうかがっていた。

「昨日の反省を生かして慌てることなく、やることができた」。前日10日目は40歳8カ月の玉鷲に、歴代最年長金星を配給した。今後、簡単には更新されそうにない、不名誉な記録に名を残した悔しさがあった。その反省を生かし、転んでもただでは起きなかった。

この日、唯一、1敗だった一山本が敗れ、トップと1差に縮まった。ただ、師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)に「3敗は優勝の星ではない」と常々言われているため、3敗してからの口癖の「(優勝は)ないものと思っている」が、この日から出た。ただ初優勝した昨年夏場所以降、この口癖を連発した2場所は、ともに優勝している。吹っ切れた後の大の里は無敵。逆転優勝の可能性は十分だ。【高田文太】

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