AKB48武藤十夢(28)が28日、東京・立川ステージガーデンで「武藤十夢卒業コンサート~やるだけやったから後悔なんかねぇ!~」を行った。ファンへの感謝のスピーチで、アイドル11年の成長を見せた。

アンコールでは、白と黒、シルバーを基調としたドレス姿でファンに感謝のスピーチをした。この日会場に訪れたファンや、卒業コンサートに携わったメンバーやスタッフらに感謝の思い、尊敬し慕ってきた大島優子への思いを伝えつつ、加入当時からの思いも振り返った。

その中で、あるシーンについて言及し、自虐した。

「なかなか思うように伝えられなくて…。せっかく総選挙で16位に入ったのに、同じことを3回もループして途中にCMに入っちゃうし…(笑い)」

この回想シーンは、15年のAKB48選抜総選挙(現・福岡ペイペイドーム)で16位にランクインし、総選挙で初めての選抜入りを決めたステージでのこと。フジテレビ系で全国中継され、選抜メンバーのスピーチは特に注目して放送される中、極度の緊張と高揚感に包まれた武藤は、同じ言葉を繰り返すなど、とにかく“グダグダ”に、中継ではスピーチ終了前にCMに入ってしまったのだ。当時は専門紙の企画で、スピーチを“自己添削”してもらったほどだった。

それでもこの日の武藤は、違った。

「私にはいつでも、どんな時でも愛してくれるみんながいたから、私は頑張らなきゃいけないと思ったし、たくさんいるアイドルの中から私を応援してくれた人には後悔してほしくないという一心で、ここまでやってこられました。他のメンバーよりできないことが多かったからここまで時間がかかっちゃったけど、応援してくれて、支えてくれて本当にありがとう。これから私はAKB48ではなくなりますが、アイドルではない私も、みなさんの心を晴れ模様にしてみせると誓うので、またそばにいてくれたらうれしいです」

自らの思いを的確に、スムーズに伝えた。

終演後の取材でスピーチについて聞くと「めちゃくちゃ考えました(笑い)。過去の卒業メンバーのスピーチも見ましたし、ああでもないこうでもないと3パターンくらい考えました。でも自分、よく止まらなかったなと(笑い)。ハートが強くなりました」。

今や、気象予報士としてABEMA「ABEMA Morning」でお天気キャスターも務めるが「いろいろ経験を積めて、私の場合は場数が大事でした。劇場に毎日立てる環境があったのも良かったと思います」と成長を実感した。

あのグダグダだったドームのステージも、卒業コンサートの晴れの舞台も、どちらも武藤十夢であることに変わりないが、進化を見せたスピーチだった。くしくも時間は、ともに「6分半」だった。【大友陽平】