前作「ビーキーパー」で、ネット詐欺集団を成敗したジェイソン・ステイサムが、今度は人身売買の組織を大元から始末する。ニュースを見るたびに腹立たしい、現実にはなかなか元締めには手が及ばない悪質犯罪に今回も鉄ついを下して留飲を下げてくれる。

昨年に続いて正月興行を彩るステイサム=デヴィッド・エアー監督コンビの新作「ワーキングマン」(26年1月2日公開)は、理屈抜きでスカッとさせる快作だ。

前作では元工作員の養蜂家という設定だったが、今回は元特殊部隊員にして建設現場の監督。前歴を封印して地道に働く男がやむにやまれぬ事情から戦闘スキルを解放する。分かっていても、前のめりに引きずり込まれる鉄板の展開だ。

前作は詐欺集団の元締めが実は現職大統領の息子という設定だったが、今回も裏社会の頂点に立つロシアンマフィアと強敵ぶりに遜色はない。

妻を亡くした失意から、荒れがちの生活を送っていたレヴォン(ステイサム)は、義父の元で暮らす1人娘を引き取ることを夢見て、建設会社で安全第一をモットーに働いている。

ところが、恩人でもある建設会社オーナーの娘が失踪してしまう。裏には巨大な犯罪組織の影が見え隠れする。警察の動きが鈍い中、オーナーの懇願を受けたレヴォンは独り組織に立ち向かう。

前作同様に格闘シーンは痛いほどリアルに描かれている。ステイサムはスタントマンなしで演じることが多いと伝えられ、58歳の今も、アクションの説得力という意味では一番かもしれない。

遮蔽(しゃへい)物に体を隠したまま撃てるモニター付の狙撃銃など、特殊な重火器類も登場し、バットマンのツールのようにレヴォンの一人きりの闘いを補完する。

「ヘルボーイ」のデビッド・ハーバー、「アメリカン・ハッスル」のマイケル・ペーニャらくせ者が周囲を固め、製作と共同脚本にはシルベスター・スタローンも名を連ねている。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)