肉や魚介類、卵、乳製品など動物性の食品を一切口にしない完全菜食主義ヴィーガンを実践するハリウッドセレブは少なくありません。健康志向やスタイル維持などのためだけでなく、動物愛護など様々な理由がありますが、昨今は環境保護のためにヴィーガン生活をするスターも多くいます。

そんな1人にオスカー俳優ホアキン・フェニックスがいます。「ジョーカー」(2019年)の怪演でアカデミー賞主演男優賞に輝いたフェニックスは、授賞式で「人間が自然界に侵入して資源を略奪している」とスピーチし、自分たちが宇宙の中心だと思い込み、自己中心的な世界観を持つという罪を犯していると力強い言葉で訴え、会場から大きな拍手がわき起こったのは記憶に新しいところです。

ホアキン・フェニックス(2002年9月撮影)
ホアキン・フェニックス(2002年9月撮影)

両親もヴィーガンだったフェニックスは、幼い頃は魚を食べていたといいますが、魚釣りで魚が殺される様子を見て食べられなくなり、3歳の頃からヴィーガンになったといいます。近年は環境保護活動にも熱心で、二酸化炭素を大量に排出する酪農と畜産が気候変動の要因になっていると語り、畜産業は人間のエゴで行われている動物への虐待だと主張するなど、地球環境のために食生活を見直すべきだと訴えています。

当然、食事だけでなく、革製品など動物性の素材を使った衣服も着用しないなど徹底したライフスタイルを貫いているフェニックスですが、昨年生まれた息子リヴァー君の食育についてイギリスのメディアに語った言葉が話題になっています。「息子もヴィーガンになれば良いとは思うが、自分の信念を押し付けるつもりはない」と語り、選択の自由を与えたいとコメント。一方で肉がどこからやってくるのか現実を教えるつもりだが、「あれでハッピーになれるわけがない」とマクドナルドにハッピーミールというものがあることは教えるつもりはないとも語り、親としての複雑な心境を明かしつつ、真実を知った上で子供には選ぶ権利があると認める柔軟な姿勢を示して多くの子供を持つ親たちから賞賛されています。

そんなフェニックスとは反対に、幼い子供にもヴィーガンを徹底しているのが、「クルーレス」(1995年)などで知られるアリシア・シルヴァーストーンです。ヴィーガン食を推奨するダイエット本「The Kind Diet(優しい食生活)」も出版しているシルヴァーストーンも、ヴィーガンを実践することで気候変動問題を改善できると信じている1人です。21歳の時に見たドキュメンタリーの影響で自身は動物を食べる動物愛好家であることに気づき、以来動物性の食品を購入することをやめたといいます。

その結果、体重が落ち、体のエネルギーレベルがあがり、髪が健康になり、アレルギー症状もすべて消えるなど健康になったことを実感し、ヴィーガンに傾倒するようになったと語っています。そんなシルヴァーストーンは、10歳になる息子もヴィーガンで育てているものの、幼い子供の成長には栄養学的に問題があると指摘する声も多く寄せられています。

他にも、第1子を妊娠中にヴィーガンになったナタリー・ポートマンも家では自身が作るヴィーガン食を家族で食べていることを明かしています。しかしポートマンよると、夫は完全なヴィーガンではなく、別の食事を取ることもあり、子供たちにも選択の自由を与えていることを明かしています。

また、最近結婚したばかりのアリアナ・グランデも動物愛護の観点からヴィーガンになったことで知られている1人です。愛犬家のグランデは、20歳だった2013年にヴィーガンになることを決意して以降、動物性食品を一切取らない生活をしていると言われています。それまでオーガニック食品を中心に肉は少量という生活を送っていたというグランデは、「今日100%ヴィーガンの初日を迎えました!!」とツイートし、ヴィーガンを宣言。植物性の食事をすることで寿命が延び、幸福になれると翌年のミラー紙のインタビューで語っています。

他にもビヨンセやジャレッド・レトなどもヴィーガンとして知られていますが、体質的に合わずにやめたセレブもいます。動物愛護の観点からヴィーガンを実践していた「ハンガー・ゲーム」シリーズなどで知られるリアム・ヘムズワースは、腎臓結石を患ったことから完全菜食主義の生活をやめたことを明かしています。2015年から4年間ヴィーガンを続けたものの、病気をきっかけに食生活を見直し、現在は栄養バランスを考えた食事を心がけているようです。また、元妻のマイリー・サイラスも健康上の理由からヴィーガンをやめざるを得なかったことを明かしており、現在は野菜や植物性食品に加えて魚は食べるペスカタリアンであることを公にしています。【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)