アメリカのスポーツ界で最高の栄誉とされるESPY賞の授賞式が10日にニューヨークで行われ、リアル二刀流として大活躍しているロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手が「最優秀MLB選手賞」、女子テニスの大坂なおみが「最優秀女子選手賞」と「最優秀女子テニス選手賞」の2冠に輝きました。スポーツ界のアカデミー賞(映画)、またはグラミー賞(音楽)とも称されるESPY賞とはどのような賞なのでしょう。

大坂なおみ(19年9月撮影)
大坂なおみ(19年9月撮影)

Excellence in Sports Performance Yearly Award(エクセレンス・イン・スポーツ・パフォーマンス・イヤーリー・アワード)の頭文字を取ったESPY賞は、米4大テレビネットワークの一つABC傘下のスポーツ専門テレビ局ESPNが主催する、この1年間で最も素晴らしい活躍をしたスポーツ選手に贈られる賞です。

年間のスポーツ界において卓越したパフォーマンスをした選手たちに授与されるESPY賞は、1993年に第1回授賞式がニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで行われ、今年で29回目を迎えます。第1回目の最優秀男子選手賞に輝いたのは「神様」と呼ばれたNBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)の元スーパースター、マイケル・ジョーダン氏で、最優秀女性選手賞はテニス界のスターだったモニカ・セレシュさん(ユーゴスラビア、現在は米国籍)が受賞しています。

また、ゴルフ界のスーパースター、タイガー・ウッズは、1998年に最優秀男子選手賞を初受賞し、2000年から3年連続で選出されるなど史上最多の21の賞を受賞しています。

最優秀選手賞や大谷投手が受賞した最優秀MLB選手賞以外にもNBA、NFL(アメリカン・フットボール・リーグ)、NHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)、MLS(メジャーリーグ・サッカー)の選手に贈られる最優秀賞、その年に活躍した新人に贈られるベストブレイクスルー賞、モータースポーツ選手に贈られるベストドライバー賞、ベストボクサー賞など多種多様なカテゴリーがあります。

NFLバッカニアーズのQBトム・ブレィディ(AP)
NFLバッカニアーズのQBトム・ブレィディ(AP)

ちなみに今年の最優秀男子選手賞を受賞したのはNFLタンパベイ・バッカニアーズのトム・ブレイディです。史上最多となる7度のスーパーボウル優勝を果たしたスポーツ界最高の選手の一人と言われるブレディも、大坂同様にESPY賞は今回が初受賞となりました。

ダブル受賞となった大坂は、最優優秀女子選手賞ではセレシュ、13年のセリーナ・ウィリアムズに次ぐ、テニス選手としては史上3人目の受賞で、日本人初受賞という快挙も達成しています。

また、大谷が受賞したMLB選手賞も、シアトル・マリナーズなどで活躍したイチロー氏や、ロサンゼルス・ドジャースでトルネード旋風を巻き起こした野茂英雄氏も選ばれたことはなく、こちらも日本人初の快挙です。大谷投手のチームメイト、マイク・トラウトは過去3度受賞しており、エンゼルスの選手としては大谷が史上2人目の受賞となりました。

日本人では他にマスターズ優勝で日本人初のメジャー制覇を果たした松山英樹が最優秀男子ゴルファー賞にノミネートされていたほか、スノーボーダーの戸塚優斗も最優秀アクションスポーツ選手賞に名を連ねていましたが、いずれも受賞にはいたりませんでした。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)