1月上旬にロサンゼルスを襲った大規模な山火事の影響で一時は開催も危ぶまれた第67回グラミー賞授賞式が、2日にロサンゼルスのクリプト・ドットコム・アリーナで予定通り開催されました。
ただ、山火事の影響でショーの内容は大幅に変更され、救援のための募金活動をメインに、消火活動にあたった消防士たちが称えられるなどチャリティーを前面に押し出す内容となりました。
被災者に寄り沿いながらも、サブリナ・カーペンターやビリー・アイリッシュ、レディー・ガガ&ブルーノ・マーズら豪華アーティストたちのパフォーマンスもあり、音楽の持つ力を改めて示した今年の授賞式のハイライトを振り返ります。
■ビヨンセが悲願のアルバム賞を初受賞
ビヨンセが、初めてカントリーミュージックの要素を取り入れた8作目となるアルバム「カウボーイ・カーター」で、最優秀アルバム賞を初受賞。これまでグラミー史上最多となる99ノミネートと32回の受賞歴を持つビヨンセは、これまで2016年の「レモネード」や2022年の「ルネッサンス」などで過去4度アルバム賞にノミネートされながら、これまで1度も受賞したことがありませんでした。昨年のグラミー賞授賞式でグローバル・インパクト賞を受賞した夫のジェイ・Zは、スピーチで妻が冷遇されていると主催するレコーディング・アカデミーを批判したことは大きな話題となりましたが、それから1年後にビヨンセは黒人女性として4人目となるアルバム賞を見事に受賞。愛娘と共に登壇し、黒人女性初のカントリー歌手リンダ・マーテルにこの賞を捧げました。
ビヨンセは同アルバムでカントリーアルバム賞も受賞し、プレゼンテーターを務めたカントリーミュージックからキャリアをスタートさせたテイラー・スウィフトからトロフィーを受け取る場面もあり、歴史に残る瞬間となりました。最多11部門にノミネートされていたビヨンセは、マイリー・サイラスとのデュエット曲「II Most Wanted」で最優秀カントリーデュオ/グループ・パフォーマンス賞にも輝き、3冠を達成しました。
■サブリナ・カーペンターがグラミー賞初受賞
キャリア10年にして昨年大ブレイクしたサブリナ・カーペンターは、グラミー賞授賞式に初出演し、大ヒット曲「エスプレッソ」と「プリ-ズ・プリーズ・プリーズ」を衣装チェンジを交えながら披露。ハリウッドの黄金期を思わせるパフォーマンスで観客を魅了しました。主要部門を含む6部門にノミネートされていたカーペンターは、「ショート・アンド・スウィート」で最優秀ポップ・ヴォーカル・アルバム賞、「エスプレッソ」で最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンス賞に輝きました。
■オープニングを飾ったのは火災で自宅を失ったドーズ
ロサンゼルスを拠点に活躍するフォーク・ロックバンドのドーズがオープニングに登場し、ランディ・ニューマンの代表曲「I Love L.A.」を披露。ジョン・レジェンド、シェリル・クロウ、ブラッド・ペイズリーら豪華アーティストのバックアップを受け、北東部アルタデナ地区の山火事で自宅を失ったシンガー兼ギタリストのテイラーとドラマーのグリフィンのゴールドスミス兄弟が率いるドーズをフューチャー。今年の授賞式にふさわしいロサンゼルスへの愛を込めた幕開けとなりました。
■ザ・ウィークエンドがサプライズ登場
2021年のグラミー賞で自身の作品が選考から漏れたことで審査の不透明さを批判して授賞式をボイコットしたザ・ウィークエンドが、新アルバム「ハリー・アップ・トゥモロー」を引っ提げてステージにサプライズ登場。「クライ・フォー・ミー」と「タイムレス」の2曲を披露してファンを驚かせました。今後グラミー賞の候補対象に自身の作品を提出しないことを宣言していたザ・ウィークエンドでしたが、授賞式の中盤に主催するレコーディング・アカデミーのハーヴェイ・メイソン・ジュニアCEOが登壇してこの数年間の多様化への取り組みを報告した後、サプライズゲストとして出演し、華麗な復帰を果たしました。
■レディー・ガガがトランプ米大統領の反トランスジェンダー政策を批判
ブルーノ・マーズとのコラボ曲「ダイ・ウィズ・ア・スマイル」で最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞を受賞したレディー・ガガは、「トランスジェンダーは、透明な存在ではありません。愛されるに値する人々です」とスピーチ。会場からは大きな拍手が沸き起こりました。そんなガガとマーズは、受賞曲ではなく1960年代の人気フォークグループ、ママス&パパスの名曲「夢のカリフォルニア(California Dreamin')」を披露し、募金活動に一役買う場面もありました。
■最多受賞はケンドリック・ラマー
主要4部門のうち最優秀レコード賞と最優秀楽曲賞の2冠を達成したケンドリック・ラマーは、最多5部門を受賞。グラミー賞をロサンゼルスに捧げたいと語り、復興に向けてみんなで力を合わせていくと力強くスピーチをしました。9日に開催されるNFL王者決定戦スーパーボウルのハーフタイムショーへの出演を前に、大きな弾みとなりました。
■テイラー・スウィフトは無冠
真っ赤なワンショルダーのミニドレスに裾から美脚と共に「T」の文字のチャームをのぞかせる大胆肌見せルックでレッドカーペットを飾ったテイラー・スウィフトは、6部門でノミネートされていましたが、今年は無冠に終わりました。
【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)












