前回のコラムで大きなミスをしてしまいました。1月3日から東京宝塚劇場で始まる公演を「花組」と書きましたが、「雪組」の間違いでした。思い込みで書いてしまい、その後、訂正はしましたが、申し訳ありませんでした。

今回のコラムでは「雪組」のことを書きたいと思います。雪組トップスター彩風咲奈が来年10月13日に千秋楽を迎える「ベルサイユのばら~フェルゼン編~」の東京公演を最後に退団することを発表しました。彩風と言えば、9月30日に劇団員が亡くなって以降、さまざまな報道があった中で、彼女の名前を目にすることが多かったように思います。

宝塚大劇場で上演中だった宙組公演が中止となり、その後を継いだ雪組も公演中止が続き、当初の予定から約3週間遅れで初日を迎えました。初日公演終了後に彩風は「皆様に感謝の気持ちをお返しできるよう千秋楽まで元気に駆け抜けたいと思います」と挨拶しましたが、その4日後の公演では舞台途中で45分も中断するアクシデントがあったり、開演直前に「出演者が体調不良で回復の見込みが立たない」と急きょ上演中止になるなどトラブルが続きました。それだけ、彩風をはじめとした出演者が肉体的にも精神的にも極限状態で舞台に臨んでいたことが想像できます。

そして、先日行われた退団会見。彩風は「自分はかっこいいトップスターではなかった」と謙遜して振り返っていましたが、確かに言えることは、誠実で、組子には頼もしいトップだったのでしょう。彼女の主演作では中国を舞台にした「蒼穹の昴」の梁文秀が印象に残っています。歴史の大きな波に翻弄されながら、未来を切り開こうとするエリート官吏の凛(りん)とした姿がすてきでした。10日に予定している観劇が楽しみですし、退団公演となる「ベルサイユのばら」のフェルゼンにも期待しています。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)

退団会見後、フォトセッションを行う彩風咲奈(2023年12月27日撮影)
退団会見後、フォトセッションを行う彩風咲奈(2023年12月27日撮影)