そっけないタイトルは原題のままだが、そこに思いが込められている。元CIAエージェントを主人公に、米版「必殺仕事人」の趣があった前作から2年。「常に新しいことに挑戦したい」と明言してきたデンゼル・ワシントンが初めて臨む「続編」なのだ。

主人公のマッコールはタクシードライバーをしながら、裏稼業として世の不正をただしている。19秒で敵を倒す早業は健在だ。

画家志望の隣人青年を後押ししたり、前作に比べて人情の部分が厚い。デビュー37年で初めて2度演じる役柄へのこだわりだろう。CIA内で唯一信頼を置いていた元上官の死をきっかけに義憤に駆られて、組織内に巣くった巨悪と戦うところが今回の本筋だ。

「プロ」同士の戦いだから、アクションは激しくなる。胴回りの肉付きがやや気になるが、すご腕はきっちりと絵になっている。カメラアングルを知り尽くしたワシントンならではの動きだ。ハリケーンを再現した終盤の対決シーンはリアルだ。見応えがある。

演技派の彼がこの役にこだわるのも不思議だが、かつて「007役への憧れ」を口にしていたことを思えば当然なのかもしれない。【相原斎】

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