英国の俳優、監督のケネス・ブラナーが製作、監督、脚本を務め、幼少期を投影した自伝的作品で、米アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞にノミネートされた。89年の監督デビュー&初主演作「ヘンリー五世」で監督賞、主演男優賞にノミネートされたのを皮切りに、通算7部門目のノミネートは史上最多だ。

ジュード・ヒル演じる9歳の少年バディの目線を通し、69年の北アイルランド・ベルファストを描く。夏の日に突然、目の前でプロテスタントの武装集団がカトリック住民を攻撃し、小さくも温かい街は分断。暴力と隣り合わせの日々の中、英国へ出稼ぎにいく父(ジェイミー・ドーナン)は移住を提案も、母(カトリーナ・バルフ)は故郷を捨てたくない。成長するバディを描く多くのシーンをモノクロにしたことで幼少期の記憶に潜り込んだ感覚を覚える。

宗派の対立で一般市民が対立し、巻き込まれていくのも市井の人々…何て理不尽なんだと思わざるを得ない状況を描きながら家族愛、郷土愛にあふれた、なんと温かい映画だろう。コロナ禍が続き、寂しさ、孤独を感じている人にはお勧めだ。互いを思い、寄り添えば人間はこんなにも強く、美しくなれるのだと感じることが出来るはずだ。【村上幸将】

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