1983年(昭58)公開の金子正次主演・脚本のヤクザ映画「竜二」。金子は公開直後、33歳で急逝した。伝説となった作品が43年の時を経て、柳楽優弥主演でよみがえった。
舞台は昭和から平成へと移り変わる新宿・歌舞伎町。妻子のために足を洗った竜二は元の世界への未練を断ち切れない。不器用にしか生きられない男の悲哀を、柳楽が静かなすごみで浮かび上がらせる。
「誰も知らない」(04年)でカンヌ国際映画祭主演男優賞に輝いた14歳の時から、柳楽のまなざしは鮮烈だった。今は鋭い目力だけでなく、ふと緩む表情にも引きつけられる。初任給を手にし、子どもが描いた3人家族の絵を見つめる時、すごみがほどけ、ひとりの父親の顔がのぞく。まさにはまり役だ。
妻まり子役の川栄李奈も好演。スーパーのレジに立つ飾り気のない姿に暮らしの実感がある。ヤクザ映画らしい刺激やスピード感には乏しいが、日々の暮らしを丹念に追ううちに竜二が捨てられないものが見えてくる。妻子との生活も、自分を慕う弟分たちとのつながりも、竜二には捨てがたい。ヤクザと堅気の線引きだけでは割り切れない「家族」の形が、そこにある。【松浦隆司】
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