全国で新型コロナウイルスの感染が急拡大しています。大阪府は1日、新たな感染者を195人と発表しました。1日に確認された人数としては7月29日の221人、31日の216人に次いで3番目の多さです。なぜ感染者が急増しているのでしょうか? 7月28日に行われた府の新型コロナウイルスの対策本部会議にオブザーバーとして参加した府の専門家会議で座長を務める朝野(ともの)和典・大阪大教授(感染制御学)は、大阪の現状について「あちこちで種火が燃えている状況」と分析しました。

府内の新規感染者は緊急事態宣言が解除された5月下旬以降、減少していましたが、7月に入ってから再び増加。同22日に初めて100人を超え、29日には200人の大台に乗りました。

府によると、当初は30代以下が約7割、「夜の街」関連の感染者が約3割に上っていましたが、ここにきて60代、70代と年代を問わず、感染が広がっています。

大阪府の吉村洋文知事(45)は6日から20日まで大阪市の繁華街・ミナミで接待、酒類提供を伴う飲食店やカラオケ店に対し、休業や午後8時までの時短営業を要請することを決めました。「ホットスポット」とされるエリアにピンポイントでの休業要請です。

対策会議で朝野教授は、大阪府吹田市、茨木市の接待を伴う飲食店でも複数の感染が確認されているとし「ミナミだけという話にはならない」と指摘し「職種、業種、業態にかかわらず(感染が起こるのは)環境です。広く、きちんと感染症対策をやらないと、ポツポツとクラスターが発生する」と説明しました。

エリア限定の休業要請の感染対策について「ホットスポットを抑えても種火が外に飛び散っている状態。今後も同じことが繰り返されるでしょう。これは感染症の常道です」。たとえ下火になったとしても、無症状の感染者を完全にあぶり出すことができず、新たな種火となり、再び感染が拡大していく現象です。

「それを見越した上でホットスポットをつぶす。それでも種火が残る。この繰り返しをどう抑えていくか。ワクチンや有効な治療法ができるまではイタチごっこです」

長い闘いになりそうです。【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)