近畿大学OBで音楽プロデューサーのつんく♂(54)が1日、大阪府東大阪市の同大学で開かれた入学式を3年ぶりに総合プロデュースしました。

新型コロナウイルスの対策緩和を受け、ド派手な入学式の復活です。つんく♂の新入生の門出を祝うメッセージはシンプルでした。「それ、やり抜いてみて!」。新入生だけではなく、社会人にも役に立つ「つんく♂の教え」です。

黒をベースとしたジャケットに、首にスカーフを巻いたつんく♂は、モニターを通し、後輩たちに感謝の気持ちを伝えました。

大学時代に結成したシャ乱Qで数々のヒット曲を飛ばし、音楽プロデューサーとしてもモーニング娘。やSMAPらに多くの楽曲を提供。

「まさに順風満帆! って言いたいところですが、2014年、大きな病気が発覚しました。もう歌えなくなる病です。僕は手術をして声帯を全摘出しました。歌手として、音楽家として、夫として、そして父として、正直ショックでした。当初、そのことは誰にも言いたくなかった。不安でいっぱいだったんですよね」

勇気を振り絞り、「声を失った事実」を公表したのは15年度の母校の入学式でした。

「その時の僕の話を、真剣に聞いてくれてる皆さんの表情や雰囲気に、とても励まされました。今でも心より感謝しております」

公表から8年、つんく♂は今年も母校の入学式にかかわりました。コロナ禍もあり、総合プロデュースは3年ぶり5回目となりました。

「前置きが長くなりましたが、本日、先輩として、皆さんに言いたいことは1つだけです」

壇上で、右手の人さし指を立て、笑顔を見せました。

「それ、やり抜いてみて!」

このシンプルな言葉には重ねてきた経験がベースにあります。

「『いいわけ』する人はどんな好条件でもネガティブ発言します。『ああすればよかった』『あれは失敗だったな』とか。でも伸びる人は、現実や、すべきことの好きな部分をすぐに見つけて、楽しみ始めます。『これでいいやん!』『あれがベストチョイスだったよ』とか」

現状は同じ立場でも、物事のとらえ方の次第で、「この差は大きいです。数年後の結果が大きく変わる思考なんです」と伝えました。

この「つんく♂の教え」を新入生も真剣な表情で聞き入りました。

「僕も夢の途中」というつんく♂は、入学式を終え、取材に応じました。

今年もまた、新入生からパワーをもらい、音楽プロデュサーとして「なによりエンタメの力を信じてたくさん作りたい。世界に負けない作品を作りたいですね!」。エンタメをやり抜きます。【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)

母校の近畿大の入学式を5年ぶりにプロデュースし、取材に応じるつんく♂(撮影・松浦隆司)
母校の近畿大の入学式を5年ぶりにプロデュースし、取材に応じるつんく♂(撮影・松浦隆司)
左から「KINDAI WELCOMES」のリーダー市川満梨奈さん、森前勇之介さん、近大OGの寺川綾さん、OBのナダル、せいや、つんく♂(撮影・松浦隆司)
左から「KINDAI WELCOMES」のリーダー市川満梨奈さん、森前勇之介さん、近大OGの寺川綾さん、OBのナダル、せいや、つんく♂(撮影・松浦隆司)
3年ぶりに総合プロデュースした母校・近畿大の入学式で新入生に門出を祝うメッセージを送るつんく♂(撮影・松浦隆司)
3年ぶりに総合プロデュースした母校・近畿大の入学式で新入生に門出を祝うメッセージを送るつんく♂(撮影・松浦隆司)