大盛況だった神戸、大阪両市で開催された阪神とオリックス優勝記念パレード。大阪市のメインストリート・御堂筋は人であふれ返りました。03年星野阪神の御堂筋パレードとは時代が変わりましたが、今回もトラファンの人情味あふれる光景を目にしました。

パレードの中間点となる船場センタービル。午後2時の阪神のパレード開始約1時間前には、側道にある観覧エリアは満員状態で、歩道の一部や、観覧エリアに続く道路にも人、人、人。パレードカーが通る本線からは、かなり離れた歩道の植え込みの周りにも仮柵が設置されていました。

多くの人が詰め掛け、少しでも身動きすると、前後左右のだれかに必ず当たるというほどでした。仮柵の最前列から1つ後方に70代の女性がいました。長時間、あまり身動きもできずに、立ち続けることは、体力がいります。パレード開始まであと約30分。女性は疲れからか、少しよろけ、前方の男性の身体にぶつかりました。

振り向いたタイガース法被を着た若い、少しヤンチャそうな20代の男性は状況を把握すると「ばあちゃん、この柵に手を置いてつかまっとき」と声をかけ、場所を前後交代。少しでも前でパレードを見たいのがファン心理ですが、トラファンの「人情味」があふれる光景でした。

そう言えば…。03年11月3日、星野阪神の御堂筋パレードを思い出しました。

当時、沿道で取材していましたが、大雨でした。パレードカーが近づくと、どしゃ降りの雨にもかかわらず、ファンは後方の人が見えやすいようにと、それぞれの傘を閉じました。当時30代だった男性はこう言いました。「星野監督の最後の晴れ姿を見たい気持ちはみんないっしょや。雨にぬれるぐらいたいしたことじゃない」。ファンの心意気を代弁しました。

今回もパレードが終わると、混乱を避けるため、その場で“待機”させられました。「おい、おい、いつまで待たせるんや」と警備員と“局地戦”を繰り広げるファンもいましたが、まあ、どこかやわらかでした。

「ナニワのDJポリス」も各所にスタンバイし、観覧後の観客を誘導しました。「歩道にはみ出したい気持ちはよくわかりますが、帰りまでがみなさんの優勝パレードです。事故なく安全に帰ることができるように、警察官は最後までいます。前のかたに続いてゆっくりとお進みください。みなさんが安全に帰れるように警察官、最後まで任務にあたっています」と呼びかけると、猛虎ファンから大きな拍手が起こりました。

上から目線は大っ嫌い、お上に反発したくなるのが関西人の気質。寄り添う言葉がホンモノなら、拍手も惜しみません。

DJポリスは「拍手、すいません、すいません、ありがとうございます」と恐縮しながら「僕、選手ではないですけど、うれしいですね」と声を弾ませました。

帰路も大混雑でした。心斎橋筋、心斎橋筋の1本東の丼池筋、細い路地まで、人があふれました。人混みの中、女性がつぶやきます。「民族大移動やな」。60代とみられる男性が同年代の男性に語りかけます。「やっさんが生きていたら、喜んでいたやろな」。「あいつ、向こうっ気が強かったな。一杯いくか。やっさんも連れてな」。

幼い娘を肩車した父親が口笛を吹きます。「六甲おろし」。娘が口笛のリズムに合わせて、父親の頭をぺし、ぺし、たたきます。ゆっくりとしか進めませんでしたが、ファンの間には、ええ時間が流れていました。【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)

御堂筋パレード終了後、路地には帰路につく人があふれた(撮影・松浦隆司)
御堂筋パレード終了後、路地には帰路につく人があふれた(撮影・松浦隆司)
「ナニワのDJポリス」に拍手を送るファンも(撮影・松浦隆司)
「ナニワのDJポリス」に拍手を送るファンも(撮影・松浦隆司)