頂点をとる。お笑いコンビ、モグライダーは虎視眈々(たんたん)とその座を狙っている。21年のM-1グランプリで決勝に進出してその名を広め、10月には、かまいたち、見取り図、ニューヨークの3組と共にレギュラー出演するTBS系新バラエティー番組「ジョンソン」(月曜午後9時)もスタート。勢いに乗る中で抜てきされた番組への思いや、目指す日本一への道筋を聞いた。【松尾幸之介】

★リンカーン後継番組

「ジョンソン」は同じTBSで05年から13年まで放送していた「リンカーン」の後継番組として始まった。当時はダウンタウン、さまぁ~ず、雨上がり決死隊、キャイ~ンの4組が出演しており、今回は次世代を感じさせる陣容で刷新。モグライダーはゴールデン帯のレギュラー経験はなく、本人たちも驚く抜てきとなった。

芝 テレビによく出させてもらうようになってまだ1年くらいなので。こんな早くにこんなに大きい仕事を入れてもらえることがあるんだと。そういう衝撃の方が大きくて、放送されるまでフワフワしていましたね。

ともしげ TBSさんは「水曜日のダウンタウン」もありますし、最初はドッキリじゃないかと疑っていたんですけど、本当だということで。でも、ふたを開けてみたら(最近放送された)フィリピンに行ってのドッキリもあって、それは合っていたんだと。(芝が)実家に行く企画だったり、モグライダーを広げていただいているなと思いますね。

プレッシャーへの向き合い方はおのおの違う。何事も割り切って考える芝と、抱え込むともしげ。コントラストのバランスがコンビの良さにも感じられた。

芝 当然「リンカーン」とは人も違うので、違うものにはなる。その時を好きな人が見て「面白くない」って人もいると思います。今回も最初に(スタッフから)お金も使いますからと聞いていて、本当にスケールが大きかった。失敗もあると思いますが、それは当たりまでのフリだと思って、見ている人も見ながら探って楽しんでもらえたらなと思います。すっごいお金と時間をかけて、すごい失敗したなみたいなのも笑えるかなと思いますし、頑張っていきます。

ともしげ 僕は養成所時代に「リンカーン」に出たことがあって、そこでダウンタウンさんに初めて会って「変なやつやな」ってイジられたりしていたんです。カットにはなっていたんですけど、それを思い出すと感慨深いなと。枠も月9じゃないですか。キムタクさん(木村拓哉)とかも出ていたそのイメージがあるので、そこに出ているのは変な感じがして。

芝 いやお前、別にドラマに出てくれって話しじゃねーだろ。

ともしげ 今の若い子が僕のことをキムタクって思うこともあるわけでしょ。

芝 違うって。何言ってんの。違うよ。

ともしげ とりあえず、期待に応えなきゃってことですね。僕たちは30代の頃はテレビに出られなかったので、若い時のフレッシュな気持ちを忘れずにやっていきたいです。

★先輩出川からエール

同じマセキ芸能社の大先輩、出川哲朗からは「頑張れ」とエールを受けたという。事務所、業界、局などあらゆる方面からの期待も背負い、戦っている。コンビとしては10月に都内で「日本一獲りたいからネタやるライブ」も開催。テレビ出演などで舞台に立つことが減る中、目標へ向けた思いもある。

芝 この1、2年で漫才を見せる回数が極端に減りましたが、ネタの中身うんぬんよりかは無駄なものがどんどんとれていった感じがあります。キャラクターも知ってもらえてウケやすくもなっていたり。今、100でやったらM-1でどこまで上がれるかという楽しみもありますね。

★初決勝「さそり座の女」

M-1グランプリでは21年に初の決勝進出を果たし、美川憲一の「さそり座の女」を題材としたネタなどで話題となった。22年は準々決勝当日に「あんまりこれ似合ってないなってなっちゃって」(芝)と直前にネタ変更するも結びつかずまさかの敗退。悔しさをかみしめながら1年間取り組んできた。

ともしげ やっぱり「ジョンソン」も背負っているわけじゃないですけど、僕らが負けたら悪いんじゃないかなと思っちゃう質(たち)なので。

芝 良くない質ですね。キムタクも背負うわ「ジョンソン」も背負うわ。

ともしげ 僕らが優勝したら番組も盛り上がるじゃないですか。とれたらとりたいですけど、そんなに簡単でもない。もし優勝したら「『ジョンソン』見て下さい」って言ってもいいのかなって思ったりもしています。

芝 わからないですけど、だめじゃないですか。他局だし。怒られるわ。

★グラグラも倒れない

地に足をつけて、前に進む。「ラヴィット!」の出演などで、お茶の間にも広く存在が浸透するようになったというが、俯瞰(ふかん)して見ることは忘れない。

芝 我々は出てくるのが遅かったですし、経験があまりないので、その焦りはあります。わからないところもあるけど、わからないなんて言ってられないし、40歳超えて初々しいところなんて見てらんないですしね。グラグラしている中で、何とか倒れないように立っている感じです。

ともしげ 僕は調子に乗った時は本当に面白くないので、謙虚にしておかないと。最近、「ラヴィット!」で料理企画をやっているので、料理の人ってよく言われて。漫才しているところがあんまり知られていなくて、「ネタできるんだ」って感動されるんですよ。もう少しネタの方も注目されるようになりたいですね。

「ジョンソン」のモットーは「本気の先に笑いがある」。これからも本気の“質”で何事にも取り組み、その先にある景色をつかみにいく。

▼「ジョンソン」の高柳健人プロデューサー

モグライダーさんの魅力は「等身大」です。芝さんは、ライブシーンで見ていて、どの芸人さんとも仲が良く、先輩後輩ともに親しまれている印象です。少し言葉が足らない人には状況説明に徹し、むちゃくちゃ芸風な人にも一度はしっかり聞いてあげる。ツッコミの人がたまに陥る「自分で処理できない時は切り捨てる」という判断をせず、寄り添うことができる懐の深さが芝さんにはあります。

ともしげさんは、おバカでポンコツという印象もありますが、少し疑い深かったり自分の意見がしっかりある方なので世間の印象とは違う一筋縄ではいかない人ではあります。でも、そこが人間味があり、だからこそ信頼できる人です。初のゴールデンレギュラーで気張ってもらいつつ、いつまでも等身大のモグライダーでいてほしいです。

◆モグライダー

芝大輔(しば・だいすけ)1983年(昭58)7月25日生まれ、愛媛県出身。ともしげ、1982年(昭57)5月31日生まれ、埼玉県出身。09年1月1日結成。M-1グランプリは09年から毎年出場し、21年決勝8位が最高。「ジョンソン」のほか、テレビ東京「月ともぐら」、テレビ朝日「金曜日のメタバース」、隔週でTBS系「ラヴィット!」などにレギュラー出演中。

笑顔で肩を組むモグライダーの芝大輔(左)とともしげ(撮影・鈴木みどり)
笑顔で肩を組むモグライダーの芝大輔(左)とともしげ(撮影・鈴木みどり)