Netflixドラマ「離婚しようよ」が始まった。

脚本を担当するのは宮藤官九郎と大石静、「俺の家の話」などで家族モノに定評のある宮藤に、恋愛モノのレジェンドといってもいい大石静のスペシャルタッグ。一視聴者目線としては、Netflixありがとう、と心の底から伝えたい。

メインの脚本家が重要な話(わ)を書いた上で、他の脚本家が何話かづつ担当するという話は聞くが、今回は話単位で担当分けをしていない。年代も性別も異なる2人が、ラブレターのように、いや流行りの交換日記のように物語をつづっていったとのこと。このやりとりだけでも映画になりそうと勝手に想像してしまう。

出演するのは松阪桃李と仲里依紗。宮藤脚本のドラマ「ゆとりですがなにか」に出演していた松坂と、大石脚本の「恋する母たち」の仲、お互い信頼している俳優を同性の主演にといったところだろうか。演技力に定評のある2人、安心して観られること間違いなし。また、脇を固める俳優たちも豪華で、さすがNetflixといったところ。

さてそこで今回紹介したいのは「離婚しようよ」に出演している錦戸亮。役柄は“色気がダダ漏れの自称アーティスト”の恭二。演じる側からしたら、ただただ厄介な役だと思われる。与えられたセリフの中で色気をダダ漏れさせなければいけなく、おそらく宮藤官九郎の遊び心が生んだキャラクターであろう。宮藤とは「流星の絆」「ごめんね青春!」に次いで3度目のタッグ(いずれも磯山晶プロデューサー×金子文紀監督)。これまではどちらかというと真面目な役が多い中、意外な役でのオファーである。

ドラマは4年ぶりとのことだが、前事務所にいたころから、何度も連続ドラマの主演をしている実力者である。事務所を辞めてからはシンガー・ソングライターとしての活動がメインとなっていたが、ここにきて今回の作品。しかも、信頼あるスタッフたちからのオファー、ファンならずとも待ってました、と言いたいところである。

肝心のダダ漏れ具合だが、男ならみんな「いるいるこんなやつ」とどこか思わせる人物像である。一般的にモテそうである“勉強もスポーツもできて爽やかでかっこいい”感じではなく“どこか天然で一歩間違えば破天荒、いやそもそもバカなのかもしれない”雰囲気を漂わせる男といったところか。

マイペースすぎて同性からは?と思われることが多いが、なぜか異性にはモテにモテまくる。よく言えば独自の世界観を持っているということだろうか、いや何も考えていないと思う。これまでの人生、数人だが出会ったことのある珍しい人種である。

さてそんな特殊な役だが、見事と言わざるを得ないほど演じ切っている。まさに色気がダダ漏れしているのが画面を通じて伝わってくる。なかなか説明が難しいので、観ていただくことをおすすめする。必ず納得してもらえるはず。

久々ながら今回強烈な印象を残したことは間違いない。これからさらに俳優錦戸亮がもっと観たくなった。

◆谷健二(たに・けんじ)1976年(昭51)、京都府出身。大学でデザインを専攻後、映画の世界を夢見て上京。多数の自主映画に携わる。その後、広告代理店に勤め、約9年間自動車会社のウェブマーケティングを担当。14年に映画「リュウセイ」の監督を機にフリーとなる。映画以外にもCMやドラマ、舞台演出に映画本の出版など多岐にわたって活動中。カレー好きが高じて青山でカレー&バーも経営している。昨年11月には俳優藤原大祐主演の最新映画「追想ジャーニー」が公開、今年3月には演出舞台「ハイスクール・ハイ・ライフ2」も上演した。

(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画監督・谷健二の俳優研究所」)