夏ドラマ。そろそろ終盤に差し掛かる。これぞといった視聴率の作品はないが、なかなかの良作ぞろいで暑くて諦めた帰省の代わりに存分に楽しませてもらっている。

そこで今回紹介したいのは「ノッキンオン・ロックドア」。原作は青崎有吾による推理小説。30年近く前に似たようなタイトルのドイツ映画があり、最初見た時はリメークかと思ったが、作者が32歳とのことで全然違うようだ。こちらも名作なのでぜひ。

いわゆる探偵バディもの。“不可能”な状況のトリックを推理する御殿場倒理(ごてんばとうり)と、“不可解”な状況から理由や動機を解明する片無氷雨(かたなしひさめ)の2人が難事件の解決に挑む。この時点ですでに面白そう。

演じるのは人気絶頂のアイドルグループから、松村北斗(SixTONES)と西畑大吾(なにわ男子)。アイドルグループと紹介したが、NHKの朝ドラで俳優として頭角を現した2人。松村は今回ドラマ初主演となるが、これまでのキャリアからみると十分納得できるキャスティングである。

監督は堤幸彦。オフィスクレッシェンドの取締役であり、日本のトップディレクター。紹介しきれないほどの作品を残しているが、その中でも「ケイゾク」「TRICK」「SPEC」と謎解きバディものを撮らせたら日本一だといってもいいだろう。

世代的には「ケイゾク」に一番ハマった。「ノッキンオン・ロックドア」にも(特別?)出演している渡部篤郎と、中谷美紀のバディは最高かつ、オープニングからもうセンスの塊。演出自体もとても洗練されていて、個人的には好きなドラマベスト10に入ってくる作品である。

さて本題の俳優紹介。今回は主演の2人ではなく、警視庁刑事部捜査一課に所属する穿地決(うがちきまり)を演じる石橋静河(29)。探偵と警察の間柄だが、2人とは大学の同級生であり良き理解者、そして物語を進める上でのキーパーソンでもある。彼女を初めてみたのは、「カロリミット(ファンケル)」(2016・2017)のCM。当時からどこか魅力的な佇まいではあったが、その後すぐ映画「夜空はいつでも最高密度の青色だ」(2017年)で新人賞を総なめして頭角を現す。

最近では、リメーク版「東京ラブストーリー」でヒロインの赤名リカを務めるなど人気実力派俳優の一人といっていいだろう。もちろん主演クラスであるが、今回はあえての3番手。

今回のドラマの役割を、恒例のサッカーに例えるとインサイドハーフの少し下にいるアンカーのポジションといったところだろうか。名門リヴァプールに加入した遠藤航選手の得意とするポジションなのも時期的に感慨深い。主演(司令塔)の旬な2人に彼女が絡むことで抜群の安定感をドラマにもたらす。そしてその独特の間は監督の好みだと思っていいだろう。遠藤同様、今後の活躍に大いに期待である。

◆谷健二(たに・けんじ)1976年(昭51)、京都府出身。大学でデザインを専攻後、映画の世界を夢見て上京。多数の自主映画に携わる。その後、広告代理店に勤め、約9年間自動車会社のウェブマーケティングを担当。14年に映画「リュウセイ」の監督を機にフリーとなる。映画以外にもCMやドラマ、舞台演出に映画本の出版など多岐にわたって活動中。また、カレー好きが高じて南青山でカレー&バーも経営している。今後は映画『その恋、自販機で買えますか?』『映画 政見放送』が待機中。