フジテレビ系昼バラエティー「ぽかぽか」(C)フジテレビ
フジテレビ系昼バラエティー「ぽかぽか」(C)フジテレビ

【テレビの言葉】「100回いっちゃえばこっちのもん」

先ごろ、MCを務めるフジテレビ系昼バラエティー「ぽかぽか」(月~金曜午前11時50分)が放送100回を迎えたハライチ澤部佑さんがオープニングで語った言葉です(5月26日)。視聴率はいまだ1%台の低空飛行中ですが、個人的には「笑い」と「歌」がセットである正統派バラエティーのDNAをゆるっと楽しめている1人なので、とりあえずの100回に大喜びの番組をほっこりと見ました。

今でこそひな壇トークや街歩きなどがバラエティーの中心ですが、昭和のテレビ全盛期は笑い×音楽が王道だったんですよね。芸能界がそのまま音楽業界を指していた時代。「8時だョ!全員集合」も「カックラキン大放送」も「欽ドン」も、笑いと音楽が抜群の相性でバラエティーを盛り上げていました。その王道を最後まで継承していたのが「SMAP×SMAP」だったと思います。

バラエティー番組に音楽がある、という雰囲気が「ぽかぽか」にも少しあって、テレビ全盛期世代としては懐かしいというか、逆に新鮮だったりします。

歌手相川七瀬さんがトークゲストだった回(5月25日)は象徴的でした。番組が相川さんの「夢見る少女じゃいられない」のオンステージで幕開け。MCトークをすっ飛ばしたインパクトのある演出にフジテレビらしい攻めっ気がありました。トークの後は「恋心」も歌唱。どんな環境下でも歌えるスキルがある80年代アイドルなどがゲストで来た際は、今後もぜひお願いしたい見応えでした。

この時は「記憶の数だけ歌謡ショー」のコーナーもあり、音楽の二段重ね。こちらはオープニングとは一転、スタジオゲストのクイズの正解数によってスター歌手の歌う長さが決まるという、ばかばかしくも斬新な企画です。

トップ歌手が往年の大ヒット曲を歌いに来てくれているのに、中高年解答者たちがふがいなくてサビまでたどり着けず終了、という悔しい展開が何週も続いたりします。松崎しげるさんの「愛のメモリー」編が先ごろやっとサビの大団円を迎え、この日は新しく高橋ジョージさんの「ロード」編がスタート。初回は真壁刀義さんの正解率がひどすぎて、イントロのハーモニカだけで終わってしまいました。

オープニングで華々しくヒット曲を歌える相川七瀬さんもいれば、「ロード」を歌わせてもらえない高橋ジョージさんもいて、「笑いと歌」への令和なりの挑戦を感じるのです。

フジテレビ系昼バラエティー「ぽかぽか」(C)フジテレビ
フジテレビ系昼バラエティー「ぽかぽか」(C)フジテレビ

今年1月に3時間枠として番組がスタートした時はさすがに長い印象でしたが、2時間枠になった4月から多少テンポが上がった感。音楽のあるなしはさておき、売れない芸人さんたちの短尺ネタが次々と笑える「火曜笑市」、世の中への不満を買い取る「ぶうぶう発表会」など、よそにはないお笑い企画を各曜日のディレクターが競って繰り出しています。刺さる企画が出るまで走りながら考える、みたいな消耗戦にちゃんと意地が感じられるのは好感が持てます。

「バイキング」も1%台あたりの視聴率がよそと同じような平均4%台をキープするまで2、3年かかっており、視聴習慣にはそれなりの時間がかかるもの。タレントのYOUさんのように熱烈な番組ファンを公言する人も出始め、ここが踏ん張りどころとも感じます。次の目標は「放送1年」でしょうか。たまに見る程度の分際ではありますが、ゆるっと注目したいと思います。

◆「ぽかぽか」 フジテレビ系、月~金曜午前11時50分~午後1時50分。ゲストを深掘りする前半の「ぽいぽいトーク」と、後半の曜日企画で構成。MCはハライチ(岩井勇気、澤部佑)、神田愛花。

【梅田恵子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能記者コラム「梅ちゃんねる」)