歌舞伎俳優市川海老蔵(38)が9日、都内で緊急会見を開き、妻で、フリーアナウンサーの小林麻央(33)が乳がんを患っていることを明かした。

 会見での一問一答は次の通り。

 海老蔵 本日新聞の方で、妻の麻央が病気という記事が出まして、前々から家族としては認識していたことですけど、今回公になったことで、ご理解やご協力が必要じゃないかと思い、お集まりいただきました。

 -麻央さんの病名は

 海老蔵 進行性の…。単刀直入に言うと、乳がんですね。約1年8カ月ほど前に分かりました。人間ドックに夫婦で行っていて、何度か調べる中で、分かりました。

 -最初に病名を告げられたとき

 海老蔵 進行具合はかなりスピードが速くて、なかなか大変なものではないかというご意見をお医者さんから受けました。

 -長男勸玄くんの初お目見え(昨年11月)の時は、病院から抜け出した

 海老蔵 すでにそういうこと(病気)だったので、休むか、歌舞伎座に行かないかという話し合いをした上で、本人としては初お目見えということで、覚悟を決めた上でした。初お目見えといっても25日間ですので、私としてもそれでいいのかという思いもありましたが、その形をとりたいということでした。

 -現在の麻央の状況は

 海老蔵 比較的深刻ではありますが、抗がん剤治療をやっています。人によって効いたり効かなかったりあるそうで、探りながらやっている中で、良かったり、良くなかったりを繰り返しながらです。手術をする方向に向かって、治療をした。麻央本人は自分で全部理解していますから、前向きに病と戦っています。連絡で「(会見に)いってらっしゃい」と言ってくれました。

 -入院はいつ?

 海老蔵 入院はずっとしていて、つい最近、通院という形ができるようになってきた。今の中心とした治療は抗がん剤です。

 -子どもはどう受け止めている?

 海老蔵 1年8カ月と長いものですから、特に長女の麗禾はもうすぐ5歳なので、状況が少しずつ分かってきている。とても寂しい思いをさせているし、彼女も自分自身で分かりながら、自分の中で戦って、踏ん張って頑張っていると日々感じています。

 -麻央自身、病気をどう受け止めている

 海老蔵 誰よりも本人がつらいと思う。麻央の家族、私の家族、子どもたち…元気になりたいという気持ちと、小さい子どもの側にいられない母親の気持ちは、私には計り知れない苦しさと戦っていると思う。彼女もつらいときは話をするけど、気丈に明るく振る舞ってる。彼女の本当の部分は、今ここでは…。

 -子供たちに麻央からの言葉は

 お見舞いとか、たまに会うときの数十分は、キラキラした時間を過ごしているのでは。

 -麻央の存在の大きさを感じる

 海老蔵 私自身も公にするのかしないのか、麻央と一緒に悩みました。いろいろなことが起こるし、子供たちの生活もあるので、今日まで隠していたというか極秘でした。麻央がいたからこそ私がいますし、いないと寂しいし、家にいないと子どもと一緒に寝てても、空虚な時間があったり、芝居に行くときも「いってらっしゃい」「おかえりなさい」というのがなかったり…。あらためて麻央の存在の大きさをひどく痛感しています。

 -がんのステージは

 海老蔵 全部聞いてますけど、深刻だという言葉で理解していただければ。簡単に治らないからこそ、こうして時間が経過して、こういう状態になっている。手術には至っていないので、抗がん剤治療を行っています。

 -子どもたちにはどう伝えたのか

 海老蔵 今日の会見を見ていると思う。長女はこれで理解するのでは。「ママが帰ってこないのはなぜか?」というクエスチョンは最初の頃はありました。ごまかしながらしゃべって、「虫に刺されたんだよ」とか、「ちょっと元気なくて、病院で元気になるようにやってるから待っててね」ということでした。

 -病気が分かって麻央にはどんな言葉をかけた?

 海老蔵 忘れもしません…。私も人間ドックを受けて、結果が似ていた。私は大丈夫だったけど、麻央がそうだと分かったとき、日本橋のホテルで話し合ったとき、私自身も途方にくれました。どうしよう、何も出来ない、でも舞台がという環境で受け止め、麻央本人も途方に暮れたよりも、もっと…女性の方が気丈で、きちんと冷静に見ている部分があると思うので、私よりショックは大きかったと思う。時が過ぎるのを忘れるような感覚で過ごしました。

 -先日、成田山で得度を受けた

 海老蔵 関係あるようでないようであるわけですから。少しでも気持ちをクリーンにした上で向き合わないといけないし、麻央自身が戦っていますから。余談ですけど(麻央の姉でタレントの小林)麻耶ちゃんも具合が悪くなりましたけど、家族一丸でバックアップする中、麻耶ちゃんも隠しながらお仕事していた。ここ1年で大活躍されているじゃないですか? そういう意味でも大変だったんだろうなって。家族の中で疲れというのが出てきてしまったんだろうな。麻耶さんもマジメ、麻央もマジメですし、すばらしい姉妹だと思う。私自身は、麻央が常に戦っている中で、麻央を支えるための仕事、公にしないと決めた上で、どれだけその瞬間瞬間を大事生きることに費やしてきている。まだまだこれからも続くし、人も波がある。その中で、そういうことをした。

 -子どもがまだ小さい中、母親がいないということでつらかったのでは

 海老蔵 子どものことを思うと、途方に暮れるという言葉では乗り切ってはいけないと。父親として、この状況を逃げも隠れもせず、堂々とドンと受けて、子どもたちのそういったものや、導いてくれるような環境を作っていかなければならない。まだ小さいので、わが家は今こういう状況の中で弱っている。そこで、私はみんなを支えることに尽くすだけ。子どもたちは、麻央が元気になることを無垢(むく)に願っていると思う。

 -今まで以上に子どもには明るく接している

 海老蔵 1年8カ月なので、日常ではあって、我々の生活は変わっていないです。できれば皆さんにお願いしたいのは、病気ですし、子どもたちも小さいですし、見守っていただきたいというのが本音です。

 -麻央とは日々どんな言葉で励ましている?

 海老蔵 ポジティブな部分とネガティブな部分があると思う。私としては、元気がないときにくだらない話をしたりしながら、必ず元気になると。仕事で側にいられないことも多いので、最近は電話で1時間、2時間しゃべることもあった。そうした日々を過ごしながら、お互いのメンタルを癒やしながら、私も彼女をバックアップしている会話をすることが多かった。

 -麻央からの要望は

 海老蔵 食欲があって、どうしてもこれが食べたいという時は、好きな物を食べさせてあげたいと、同行して、食べたりしたこともあった。これをしてほしいというのはあまりないです。

 -麻央の子どもに対する思い

 海老蔵 思わなくてもいいと思うけど、申し訳ないという気持ちが強いと思う。2~4歳の時期は、子どもにとっては重要な時期でもあるので、自分がそばにいてやってあげられないことが多くて心苦しく思っていると思う。

 -病室には

 海老蔵 幼稚園で作った絵とか折り紙とかを、病室で「ママにあげる」って、特に麗禾はいろいろなものをあげてますね。

 -1年8カ月という期間はどんな日々

 海老蔵 長いですし、これからもまだ続きます。おのおのが忍耐のいる1年8カ月で、おのおのが悲しんだ1年8カ月だったんじゃないですかね。ましてこうして公にしないようにしてきた中で、病気自体は大変なもの。(麻央の)お母様やお姉様がみんなで支えている。お姉様もテレビの仕事をしながら、出来る範囲で妹のもとへ行っていた。1年8カ月、公にならなかったこと自体が奇跡だったのかな。実は、少し落ち着きだしている部分もあります。これ以上、早く見つからなくて良かったという本音と、辛抱して支えきりたかったなという本音と、公になってホッとする部分の3面があります。とにかく麻央の病気が治るまで全面的に支えますし、治っても支え続けるという話ももちろんしながら、逆に支えてねと連絡した。つらかったけど、いつかあの時間は大変だったけど、家族にとってはとても良い経験をした時間だったという会話が出来るように、それを夢見ている。振り返ることが出来る日を願って。

 -元気になって家族でやってみたいこと

 海老蔵 あえて言わせていただくと、ずっと休みをとらずに仕事をしてきた。休みを取って、体調次第でどこか行きたいと思ってますので、みなさん絶対に追いかけてこないでください。

 -最後に

 海老蔵 まだまだあると思いますけど、1日でも早く麻央が元気になるように、我々も一生懸命努めたい。できれば、なるべく静かに見守っていただきたいというのが我々家族の願いです。本日はありがとうございました。