プレーバック日刊スポーツ! 過去の12月31日付紙面を振り返ります。1995年の芸能面(東京版)はNHK紅白歌合戦リハーサルの小林幸子でした。

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<第46回NHK紅白歌合戦>◇リハーサル◇1995年12月30日◇NHKホール

 毎年ド派手な豪華衣装で話題を呼ぶ小林幸子(42)美川憲一(49)の今年の紅白衣装が30日、紅白リハーサルで初披露された。

 小林は全重量8トン、「イメージは21世紀の観音様。大きさより動きに着目した」という推定3億円の衣装というより“セット”。一方、美川はダイヤモンド4個(1億円、計25カラット)をギラつかせた総額2億円のキラキラ衣装。披露後は互いに「きれいだったわよ」と声を掛け合いながらも、ライバル意識ムキ出しだった。

 舞台後方からズズーッと、前方に滑り出された小林の衣装はラメ入りのロングドレス。例年に比べ、小林の顔の位置もはっきりと分かり、大きさでも派手度でも昨年を下回ったかに見えた。

 しかし、ワンコーラスが終わった瞬間、小林の衣装は本領を発揮。白いロングドレスから一瞬にしてパープルのドレスに早変わりしたかと思うと、衣装ごと斜め前方に高さ8メートルまで舞い上がり、UFOをかたどった足元からはスモークがたかれた。小林の頭の後ろでは、機械仕掛けの傘が開いたり、閉じたり、ぐるぐる回ったりと忙しく、動きのたびに関係者で埋まった客席から爆笑と拍手が起こった。

 本当は高所恐怖症の小林は客席の反応に大満足で「どうもありがとう」と手を振りながら、衣装ごと後方に引き下がった。舞台裏では、ちょうど衣装を外し終えた美川から「幸っちゃん、ホントにきれいだったわよ」と声を掛けられたという。

 年々重くなる衣装に、小林もけいついを痛め、整体に通ってまで紅白に挑んでいる。今回は全重量8トンで過去最高。小林を支えるクレーンは、紅白全体のセットを請け負っている業者の特製で昨年1月から製作に取り掛かった。衣装部分は、世界33カ国からクリスタルや生地を集め推定3億円、10月に完成した。

 「私も歌手ですから、ワンコーラスはちゃんと歌を聴いてもらおうと思って」。ワンコーラス目の地味度は作戦だった。しかし、これでも、例年歌が衣装に隠れてしまうことを気にしてNHK側とも相談し、高さ8メートル、幅3・5メートル、奥行き4メートルに「抑えた」(小林)という。

※表記は当時のもの