俳優窪塚洋介(37)が12日、東京・外国特派員協会で行われた米映画「沈黙-サイレンス-」(マーティン・スコセッシ監督、21日公開)記者会見に参加した。ともに登壇した浅野忠信(43)とイッセー尾形(64)は同所で会見を行ったことがあるが、窪塚は初めて。それでも、ジョークとウイットが効いたトークで、会場を何度も笑わせた。

 窪塚は劇中で、隠れキリシタンを見つけるために行われた踏み絵を、キリシタンながら何度も踏んでしまったキチジローを演じた。役作りについて聞かれると「弱き者…みにくくて、ずるくて、汚くて、弱い。彼が、あまりに踏み絵を踏むもので、弱いんだか強いんだか分からない役。表裏一体なのかなと思っています」と答えた。その後、神妙な面持ちで踏み絵について語った。

 窪塚 1月5日に米国のプレミアに行った時、「今の米国人が踏み絵を踏むと思う?」と何人かに聞いたんですけど、ほとんどの人から「みんな、踏むと思うよ」というような答えが返ってきた。そのことを踏まえると、江戸時代の話ではありますけど、キチジローという役があることによって、作品が現代のみんなの近いところにきて、共感してもらいやすくなってもらえたらいいなと思っています。

 撮影が台湾で行われたことについて感想を聞かれると「まず1番、最初に浮かぶのは小籠包」と言い、口元に笑みを浮かべた。その上で「スコセッシ監督は、どの瞬間も日本に敬意を評していたので、日本の事実に合うよう、時代考証もして臨まれていたので、違和感がないと思う」と、日本の江戸時代を描いた作品を、台湾で撮ったことに問題はないことを強調した。

 スコセッシ監督の印象について聞かれると「撮影現場では王様のような人で、いてくれるだけで演技がしやすくなり、演出になっている。自分の姿が2倍にも3倍にも見え、本当に大きなすばらしい俳優になったような気分にさせてくれる、鏡みたいな監督」と絶賛した。その上で「そんな監督さんに『ニューヨークに来たら、うちにおいでよ』と2度も言ってくれたので、この間、初めてニューヨークに行ったら、マネジャーにメールしたのをスルーされました」と言い、会場を大爆笑させた。

 質疑応答では「米アカデミー賞最有力作品という宣伝文句だが?」と質問が飛んだ。浅野は「アカデミー賞には選ばれていると思う。選ばれなかったら、神様が審査員に余計なことをしゃべっている」と言い、観客の笑いを誘った。また「江戸時代に生まれたら、何をしていたと思う?」と聞かれた尾形は「僕は江戸時代に生まれても俳優をやっている」と言い、笑みを浮かべた。【村上幸将】