15年3月に台湾・台北の空港で職員に暴行して逮捕された、俳優の隆大介(59)が、映画「私は絶対許さない」(和田秀樹監督、来春公開)に出演することが31日、分かった。

 関係者によると、隆にとって事件以来、初の映画への出演になるといい、既に撮影は始まっている。

 隆は、現在公開中のマーティン・スコセッシ監督の新作映画「沈黙-サイレンス-」の撮影のために、15年3月に台湾に向かった。桃園国際空港に到着後、入国審査で、入境カードへの記入と酒気検査を求めた管理官の膝を蹴って左足を骨折させ、傷害と公務執行妨害で逮捕された。当時、隆は泥酔しており、空港内で暴れ、職員に悪態をつく様子などが現地のテレビ局で放送され、インターネットを通じ、世界的に映像が流れた。同5月に被害者との和解が成立し、同6月に公務執行妨害罪として罰金刑が確定。刑の執行完了をもって同7月に帰国し、当時の所属事務所から解雇された。

 「私は絶対許さない」は、15歳の元日に集団レイプに遭い、加害者の5人の男への復讐(ふくしゅう)を胸に生きてきた、雪村葉子氏の同名手記「私は絶対許さない」(ブックマン社)の実写映画化作品。同書が15年11月に出版された際に解説も書いた、精神科医の和田監督がメガホンを取る。

 主演はモデルの平塚千瑛(ちあき=30)で、レイプシーン含め、ヌードも辞さない体当たりの演技で挑む。平塚は「新人女優の私を抜てきしてくださった和田秀樹監督はじめ、スタッフの皆様に心より感謝申し上げます。今回の撮影は初めて尽くしのことが多く、毎日が緊張の連続ですが、体調管理をしっかりしてベテランの俳優・女優の方々に食らいつき、精いっぱい葉子役を演じてまいります」とコメントした。

 和田監督は「アメリカ留学で、トラウマ理論を勉強してきた私ですが、トラウマがいかに人間を変えるか、ということに衝撃を受けることを何回もありました。雪村さんの原作は、そんな私に最も衝撃を与え、どうしても映画化をしたかった作品です。原作のテーマを、精神科医として、どれだけ表現できるかはわかりませんが、最高レベルのスタッフとベテラン俳優陣に支えられて、なんとか国際的に通用する作品に仕上げられればと願っています」と意気込んだ。

 今回は、主人公目線で全てが撮影される完全主観撮影で、よりリアルにレイプシーンを追求。和田監督が、精神科医ならではの視点で描く社会派エロス作品となる。関係者は「レイプは主人公の女性の目線で描かれるので、レイプの場面も、皆さんが思われているような通常のものとは違うものになるでしょう」と明かした。