「鬼才」として国際的な評価も高い韓国の映画監督キム・ギドク氏(56)が撮影中、女優に平手打ちしたり脚本にないベッドシーンを強いたりしたとして告訴された。韓国メディアが伝えた。

 韓国では女優が撮影に絡む暴力やセクハラを訴えるケースが相次ぎ、政府傘下の映画振興委員会が調査している。

 報道によると女優は、性を巡る過激な描写で話題を集めた2013年公開の映画「メビウス」の撮影中、キム氏から演技指導と称した暴力や暴言を受け、出演を辞退したと主張している。

 キム氏は3日「リアリティーを高めようと集中する中で起きたこと」と釈明し「傷ついた女優にはすまないことをした」と陳謝。一方、脚本にないシーンの強要などについては否定した。

 韓国では近年、女優の胸の露出シーンを本人の意向に反してネットで有料配信した事例や、女優に対する脚本にはないセクハラ行為が、いずれも刑事事件に発展した。

 映画界では昨秋来、朴槿恵前政権が反政府的と見なした芸術家らの排除を図ったとされる事件を受けて表現の自由が叫ばれ、撮影に絡む性暴力への意識も高まっている。映画振興委員会は今年9~10月ごろ、実態調査の結果を公表する見通し。