歌舞伎俳優の中村吉右衛門(73)が31日、東京・歌舞伎座9月公演「秀山祭九月大歌舞伎」の会見を同所で行った。

 養父である初代中村吉右衛門の功績をたたえ、芸を継承することを目的に行われている興行で、今回で10回目を迎える。

 吉右衛門は10回の節目にも「まだまだです」と謙虚な姿勢を示し、「初代が望んだ『お客様を感動させる、楽しませる』を守って、できるだけ長くやりたい。100まで生きて『秀山祭』ができたらいいなと思っています」と話した。

 夜の部では、自身が筆を執った「再桜遇清水(さいかいざくらみぞめのきよみず)」を13年ぶりに、また歌舞伎座では初めて上演する。自身が演じてきた役は市川染五郎(44)に譲り、作品には監修として携わる。

 吉右衛門は「歌舞伎座で再演することを望んで作ったので、わが意を得たり、というところではございます」と喜びを口にした。染五郎は「傑作を上演する、務めるのは高いハードルだけど、あえて挑ませていただきます」と意気込みを語った。また中村雀右衛門(61)は、吉右衛門について「いろいろな公演でご一緒して、細かく教えてもらった。ワクワクしながら教えていただくことに感謝しています」と話した。