週に2、3回、約1000メートル泳ぐ。アルコールはあまり飲まない。毎朝ビタミン剤を飲むなど健康に気を配るが「年齢は関係ない」という。「年齢の数字ってあくまで数字でしかない。人それぞれコンディションは違うと思う。僕らがいるクリエーティブの世界は年齢ではなく、いいアイデアを持ったやつが勝ちなんです。年齢では区切れない。これは大前提なんです。僕は、いつもそういうふうにして、人を見てます」。

 あらゆることが、音楽に帰結する。音楽以外に興味があることを聞くと「言葉に詰まっちゃうよね」という。「音楽を窓口にして全部を見ている。全てが音楽、ソングライティングと切り離せないような気がしています。それ以外だと…時々、玄関の前にヘビが出るのをどうにかして欲しいとかね(笑い)。雨が降った後、にょろっと出てきて、ビックリしますよ。干からびて、紐(ひも)と間違える時もある。そういう、ささいなことです」。

 音楽と離れた時間があるとするなら、何をしているのだろうか。「あらためて聞かれると、何をしているんだろうかと思いますね。プライベートな時間も、音楽はそばにあるんだろうと思います。呼吸をするように音楽が…そう、これはインタビューのタイトルになると思いますよ。『常に僕の人生に、呼吸のように音楽がある。佐野元春』。あとは(紙面に)格好いい写真をピッとね」。

 生み出される作品と同様に、言葉も小気味がよく、明快。歌うように話す。聴き心地がよく、すっとなじんだ。【近藤由美子】

 ◆佐野元春(さの・もとはる)1956年(昭31)3月13日、東京都生まれ。立大卒。80年シングル「アンジェリーナ」でデビュー。代表曲は「ガラスのジェネレーション」「SOMEDAY」「約束の橋」など多数。尾崎豊さんや吉川晃司ら影響を受けたミュージシャンは多数。DJ、雑誌編集など幅広い表現活動を行ってきた。04年に音楽レーベル「DaisyMusic」を設立。血液型B。

 ◆「MANIJU(マニジュ)」 通常版は全12曲を収録。特別編集版はディスク1は全12曲、ディスク2は「元春レイディオ・ショー特別盤」を収録、DVDやアートブックなども封入。「マニジュ」とは禅語で「神秘的な力をもつ玉」を示す「摩尼珠(まにしゅ)」に由来。