ジャニーズ事務所の所属タレントの中でも、演技派として定評のある風間俊介(34)がTBS系ドラマ「陸王」に出演している。

 元銀行マンの池井戸潤氏が生々しく描いた原作の世界で、まさに、その銀行マンを演じるのは、20年の演技歴をもってしてもかなりのプレッシャーがあるようだ。主演の役所広司(61)とも初顔合わせで、静かな演技の中に込められた「圧」をひしひしと感じているという。

 第1話の収録を終えた風間に話を聞く機会があったのだが、ベテラン俳優の気迫や演技の機微をしっかりと肌で感じられるところにも、この人の俳優としての才能があるのだと思った。

 イギリス出身の俳優アンソニー・ホプキンス(79)の大ファンで、映画「羊たちの沈黙」(91年)で演じた連続殺人犯ハンニバル・レクター博士の演技にしびれたそうだ。

 「うらぶれた老人とか、普通の役もやるんですけど、いつでも何かやるんじゃないか、何かあるんじゃないかというワクワク感、存在感があります。みんながあの人のフルスロットルの演技を知っているからですよね。うらやましいというか、畏れおおいですけど、同業者として嫉妬もあります」。

 そういう意味では、風間もデビュー2年目に振り切れた役に恵まれている。TBS系「3年B組金八先生」(99年、第5シリーズ)の兼末健次郎役だ。

 見た目はいい子だが、心の中には深い闇を抱えている。武田鉄矢ふんする金八先生にも「健次郎は毒だ」というセリフがあった。表情豊かな目から、いびつな少年の心が伝わる好演だった。

 「陸王」の収録現場では「初心といいますか。不思議と『金八先生』の頃と同じような緊張を感じています」とも。

 銀行マン役で、池井戸原作の奥行きをどんな風に見せてくれるのだろうか。