石井裕也監督(34)が「夜空はいつでも最高密度の青色だ」で監督賞を受賞した。13年に「舟を編む」で作品賞を取って以来の日刊スポーツ映画大賞だ。石井監督は「年をとって、賞を取るありがたみが分かってきました。皆で力を合わせて作った作品なので、うれしいです」と喜んだ。

 「夜空は-」は同名詩集が原作。詩集を映画にするのは異例で、石井監督にとっても初体験。詩を読み込み、物語や登場人物を作っていった。石橋静河、池松壮亮の2人が演じた不器用な男女を描き「自分の経験や興味を持っていたものが引っ張り出された。大げさに言うと心理セラピーみたいなものになった」と振り返った。

 手掛けていないジャンルに目を向けている。「34歳になって少し自分が分かってきた。感覚や集中力は落ちていく。アクションなのか少女コミック原作なのか、海外で作品を撮る、なのか分かりませんが、なるべく早く自分の限界値、世界を広げていきたい」。【小林千穂】

 ◆石井裕也(いしい・ゆうや)1983年(昭58)6月21日、埼玉県生まれ。大阪芸術大の卒業制作「剥き出しにっぽん」でPFF(ぴあフィルムフェスティバル)アワードグランプリ。10年、「川の底からこんにちは」で商業映画デビュー。ほかに「バンクーバーの朝日」など。サッカーは浦和、野球は巨人ファン。

 ◆夜空はいつでも最高密度の青色だ 建設現場で働く慎二(池松壮亮)は、ガールズバーで美香(石橋静河)と出会う。息の詰まりそうな新宿、渋谷の街を舞台に、不器用な2人の恋が始まる。石井裕也監督。

 ◆監督賞・選考経過 「彼女がその名を知らない鳥たち」の白石和弥監督を推す声もあったが、「渋谷の空気感をよく出していた」(石飛徳樹氏)「東京の魅力が等身大で出ている」(福島瑞穂氏)など、現代の東京を描いた「夜空はいつでも最高密度の青色だ」が評価された。