演歌歌手走裕介(44)が10日、故郷の北海道・網走市民会館で、デビュー10周年記念コンサートを行った。

 今月7日発売の新曲「北のひとり星」やデビュー曲「流氷の駅」、「呼人駅」「男の駅」などを熱唱し、ギターの弾き語りで「みだれ髪」も披露。同じレコード会社の先輩・渥美二郎(65)も応援に駆けつけ、ゲストとして花を添えた。

 網走市出身の初演歌歌手で、同市の観光大使も務める走の4回目となる地元公演とあって、約2時間半のステージは約1100人が駆けつける大盛況。「はしり~っ」の掛け声に交じり、「真野く~ん!」と本名での声援もあった。

 本編のラスト。「風来ながれ唄」の歌唱前には、ステージ上で両膝を付いて頭を下げた。「本当にありがとうございました」。その後の歌唱中には感極まって涙をこぼした。そんな走に、客席から「がんばれーっ」と温かい激励の声が何度も飛んだ。

 故郷の優しさに触れた走は、10周年の節目を迎えたことに「デビュー当時は、ここまでやれるとは思っていなかった。多くの人に支えられ、充実した、感謝の10年です」と振り返った。

 約10年の内弟子生活を送った師匠の作曲家船村徹さん(享年84)は昨年2月16日に死去。もうすぐ一周忌を迎える。「できれば10周年の記念曲を書いてもらいたかったし、この場にいてほしかった。姿は見えませんが、空の上からきっと見てくれていると思う」としのんだ。船村さんの教えの中で、特に心に残っているのは「たくさん売れなくてもいいから、長く歌い続けられる歌手になれ」という言葉だという。「師匠への恩返しのためにも、10年、20年、30年と声の続く限り歌い続けます」と誓った。

 前日9日には母校の網走市立東小学校を訪問。当時の担任教師と再会して思い出話に花を咲かせ、校庭にあるスケートリンクで軽快に滑走した。「すごく懐かしい。気持ちよく滑ることができたし、初心に戻れた。デビューからの目標は紅白。ぜひ出場したいです」。

 平昌五輪では、同じ北海道出身で、ノルディックスキー・ジャンプ男子の葛西紀明(45)に注目している。「同世代だし、ケガを克服してすごく頑張っている。すごいなと思うし、尊敬しています。金メダルを取ってほしい」とエールを送り、「自分も歌謡界の金メダルを狙いたい」と語った。

 10周年記念イベントは、この日を皮切りに全国各地で開催する。「白銀の大地が生んだ不屈のランナー」の愛称を持つ走が、故郷で節目の年に幸先の良いスタートを切った。