5月2日のビルボードライブ東京から始まるライブツアーを前に、萩原健一(67)が大阪市内で日刊スポーツの取材に答え、「みんなで楽しもうよ、という気持ちでライブに臨む」とステージへの意気込みを語った。

 デビュー51年目で初めてとなる自身のレーベル「Shoken Records」を設立して、22年ぶりのシングル「Time Flies」を来月9日にリリースするが、「レーベル立ち上げは昔から考えていた。もっと早くやりたかったんだけど、ドラマとか忙しくて、このタイミング。でも51年目って、新しい挑戦という感じでいい」。昨年デビュー50周年を迎えたが、「1つでも若い人に残すこと」を意識しているという。「自分のレーベルを後輩にも使ってもらいたい」と未来を見据える。

 自身のライブ・パフォーマンスで唯一無二の輝きを放つ萩原だが、現在の日本の音楽シーンにも目を向ける。「サンボマスターに布袋寅泰。いいミュージシャンもいっぱいいるよ」と目を細める。67年にザ・テンプターズとしてデビューしたが、「あの頃は世界中が集団ヒステリーじゃないけど、大きな同じ流れの中にいるような感じだった」と振り返る。その上で、「いま自分が意識するのは人生の原点回帰。その原点とはザ・テンプターズ以前の少年の頃の自分自身」と話す。新曲も「プロになる前の汚れていない、素直な自分」を探して詞を書いたという。「そこは進化できたと思うよ」と笑顔を見せる。

 萩原のシングル発売は96年の「泣けるわけがないだろう」以来。「Time Flies」「Dejavu」「Good Action」の3曲収録で、いずれも萩原の51年のキャリアで初となる、自身による作詞作曲の書き下ろしの新曲。「原点回帰」の境地で創作した。

 音楽の他に俳優から脚本執筆まで「表現者」としての才能をいかんなく発揮する。その裏には、まず健康であるために、毎朝2時間のストレッチを欠かさないストイックさがある。「全て準備だよ。いつでも求められたモノに応えられるように、引き出しは多い方がいいから」。

 ライブは「鉄壁のShoken Band」をバックに、萩原のボーカルとシャウトに呼応するようなセッションで盛り上がる。「遠慮しないで心を1つに、みんな作り笑いなんて忘れて楽しもう。また翌日からそれぞれの仕事や生活を頑張れる力になればいい」と、ファンにエールを送る。「これから自分が何を目指すか? それはお楽しみ」と不適な笑みでインタビューを締めた。

 新曲リリース・ツアーは5月2、4日がビルボードライブ東京、同13日が名古屋ブルーノート、同30日、6月1、2日がビルボードライブ大阪、同9、10日がモーション・ブルー・ヨコハマ。詳細は公式サイト(http://www.kenichihagiwara.com/)を参照。