撮影は、1年半前、日米両国で計3週間行った。日本で閉塞感いっぱいの中を生活する節子と、英会話講師を追って渡米する大胆な行動を見せる節子。別人格のような切り替えが必要な役づくりだが、自然にスイッチは入った。
「普通に切り替わっていきました。飛行機に乗って、広大な土地を見て、人にもぶつからないし、誰からも干渉されなくて、カラッとしてる。アメリカに行ったら、何となく気分も晴れてきたんですよね。自然にウキウキした気分になったのは、場所のおかげでした」
米国式の撮影もいい経験になった。米国ではトラブル対策のため、いろんなカットを撮りためておくのだという。何が起こっても1本の映画を完成させられるための保険なのだそうだ。若松孝二監督の元で、12日間で「キャタピラー」を撮ったこともある寺島には驚きの経験だった。
「縦から横から、本当にいろいろ撮りましたね。若松監督が聞いたらどう思うんだろう。『その分、製作費に回してくれ』って言うかな(笑い)」
撮影現場での働き方についても考えることが多かったようだ。
「じっくり撮るので、(スケジュールが)どんどんおしりに伸びていくんです。大丈夫かなと思いましたが、きちんと着地しました。しっかり休むと、さあ次やろうという気になるんです。日本でも12時間規定を作ったらいいんじゃないかな、と思いました」
アメリカでの撮影には、長男眞秀(まほろ)君(5)、夫でアートディレクターのローラン・グナシアさんの娘クレオさん(19)も一緒だった。
「現場に連れて行くのはあまり好きじゃないんですけど、その前に九州での撮影もあってさみしい思いをさせていましたし、長い期間なので連れて行きました。私が撮影に出る時、ぐずる眞秀をクレオがなだめたり、遊びに連れて行ってくれたり、全部やってくれました。クレオはジョシュの大ファンなんです。ジョシュが『ツーショットいいよ』って肩組んで写真撮ってくれた時、クレオはトマトみたいに真っ赤になってかわいかったです。『しのぶ、大好き』って言ってもらって、私のお株が上がりました」
眞秀君は、撮影現場に1日だけ見学にやって来たという。
「(南)果歩さんとのけんかのシーンだったんです。撮影前は果歩さんと2人できゃあきゃあ話していたのに、スタートとなったら激しいけんか。眞秀はそれを見てきょとんとしてましたね。びっくりしたみたいです。何が起こったんだろう? って」
眞秀君は現在、東京・歌舞伎座「団菊祭五月大歌舞伎」の「弁天娘女男白浪」に出演中だ。もしかして、撮影現場を見て役者のすごさを感じたのでは。
「それは分からないですけど(笑い)。でも私の舞台はすごい集中力で見てますね。歌舞伎も昼夜(の部)を見ます。好きは好きみたいです。今は、おちゃらけに走って、人を笑わせることに興味があるみたいです。そういう血が誰にあったのかな」



