マツコ・デラックスが、テレビ東京の異なる深夜5番組に立て続けに出演するプロジェクト「無理矢理、マツコ。テレ東に無理矢理やらされちゃったのよ~」の第2弾「マツコがマネーをあげたいクイズ」が22日、放送された。11日に都内で行われた収録を取材し、テレビ制作者としてのマツコの“プロの顔”を垣間見た。

 「マツコがマネーをあげたいクイズ」で、マツコは出題者ながら賞金が欲しい挑戦者に何とか正解させるのが使命という一風、変わった立ち位置だった。挑戦者と会話を交わす中で、手元に配られたクイズカードの中から答えられそうな問題を探して出題し、ギリギリのヒントまで出して、挑戦者と二人三脚で賞金ゲットに必要な5問の正解を目指した。

 1組目に登場した母、娘、孫3代の一家とクイズに挑む中で、マツコは「どれを選んだらいいか、分からないくらい簡単」、「全部、問題がつまんないもん」などと、問題の質に関して制作サイドに繰り返し苦言を呈した。そしてクイズを終えた一家に「センスのない問題が多かった。こっちのミス。ゴメン…ゴメンな」と謝罪した上で「子ども、おいで!」と孫たちに声をかけて記念撮影にまで応じた。

 マツコは一家がスタジオを後にすると、その場でスタッフを集めてミーティングを行い「最初から、遊んでやろうという問題を作っているから、こうなる」と厳しく指摘。さらに「クイズとしてやったらいいのか、(挑戦者を)いじることをやったらいいのか、応援して賞金を取らせるのが主眼なのか、そんなのどうでもいいから面白ければいいのか、ハッキリしてやった方がいい」とスタッフを追及。ごく普通のクイズ番組として進めるのか、挑戦者をいじり倒してエンターテインメント性を追求するのか、どちらにかじを切っていくべきなのかを確認した。

 MC兼出題者として、番組の方向性が定まらないことに我慢ならないという思いが、見ているこちらにも伝わってきた。マツコはスタッフの意思を確認した後「割り切ればいいのね。応援する感じにすればいいのね」と言い、挑戦者にヒントを与え、応援して賞金を取らせるという当初の番組の方向性で進めることを改めて口にした。午後6時から14分間のミーティングは短時間ながら、マツコの番組作りへの妥協のない姿勢が表れた。

 その後、マツコはTBSの番組「SASUKE」に挑戦する男性4人と有村藍里(27)と2組の挑戦者の収録を終え、取材会に応じた。当初、午後6時40分ころに開始予定だった取材会のスタートは、午後8時ころと大幅に押した。日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日、TOKYO MXと1週間に8本のレギュラーを持ち、多忙なマツコがどのくらいの時間、取材に応じるのか、不安を口にする記者もいたが、マツコは予定通り約30分、取材に応じた。

 「無理矢理、マツコ。テレ東に無理矢理やらされちゃったのよ~」は、放送を終えた「マツコ監禁~100人の愚痴を聞く~」、「マツコがマネーをあげたいクイズ」をはじめとした5番組全て、内容は撮影当日までマツコに明かされずに撮影、収録を行う。

 マツコはその制作手法について「いいと思う。期待していたのよ。でも私を、もっと痛めつけて欲しかった。」と注文を付けた。その上で、その時点で収録を残していた26日放送の「レンタルマツコ!」(深夜0時50分)、29日放送の「マツコ、昨日死んだってよ」(深夜0時12分)、6月10日放送の「テレ東にいろいろやらされちゃったのよ」(深夜0時35分)について「もっと要求は厳しめにやりますよ」と手綱を引き締めると断言した。マツコのテレビ制作者としての本気が感じられる姿勢だったが、決定的だったのはこの言葉だった。

 マツコ 私は1回の出会いを大事にしたかったわけですよ。1この番組を立ち上げるのに、ああでもない、こうでもない…スタッフとケンカしながら作り上げていくわけですよ。人任せで、やれないタイプなのね。私、いつか誰かに刺されるのよ(笑い)

  また、質疑応答の中で、所属事務所ナチュラルエイトに4月26日から所属した元NHKの有働由美子アナウンサー(49)の民放デビューにテレ東はどう? と質問が飛ぶと「そんなわけねぇだろ、バカ…テレ東関係者の皆さん、ごめんなさい」とテレ東関係者に謝罪しつつ否定。その上で「うちの事務所はね、意外と共演させない事務所なんですよ。そういうアホなことはしません」とも言った。

 それが22日に、有働アナが「マツコ、昨日死んだってよ」にナレーターとして、民放の番組に初出演することが分かった。 マツコは「有働さん? 有働さんなんて出してませんよ。テレ東に本物の有働さんなんて出しません。あれはそっくりさん」とコメントしたというが、その一報を目にして、完全にヤラれた…と思った。

 その件を含め、今回の取材を終えて、マツコがこだわって作っている番組を見るのが、ますます楽しみになった。【村上幸将】