女優五大路子(65)のひとり芝居「横浜ローザ」が、8月11日から15日まで横浜赤レンガ倉庫1号館で上演される。96年の初演から22年。「私のライフワークです」と、並々ならぬ思い入れがある。

 主人公は横浜に実在した老娼婦。顔を白く塗り、白いドレスに赤い靴をはいた姿は有名だった。五大は初めて会った時に、彼女の目の奥から「私をどう思うの。答えてちょうだい」と訴えかけてくる迫力に衝撃を受けたという。それから、彼女の波乱の半生を求めて、彼女が通ったクリーニング店、化粧品店を探して歩くなどの取材を重ね、杉山義法という名脚本家の力を得て、96年に「横浜ローザ」が生まれた。

 以来、横浜だけでなく、全国で公演を行い、15年にはニューヨーク公演を敢行した。わずか3日の公演だったが、ニューヨーク・タイムズの劇評で「居場所のなかった彼女に、今、居場所を与えた」と絶賛された。そして、観劇した15歳少女の「何があっても立ち直り、時代を生き抜いた彼女は私のヒーローです」という言葉に、五大は大きな力を得たという。

 初演から22年間演じ続けている五大は「彼女の半生は日本の戦後史。演じる中で、彼女の足跡が私の中に入ってきた。彼女は(05年に)亡くなったけれど、私は命ある限り続けていきたい」。彼女の故郷で墓参りをしたという五大は、今回の公演から演出を一新する。「ニューヨーク公演は映像や音楽を駆使したものだったけれど、一から作り直します。ローザを生き直したい」。思いも新たに、「横浜ローザ」の新しい歴史が始まる。