柄本明(70)主演の舞台「誰もいない国」(25日まで)が8日、東京・新国立劇場で初日を迎えた。10月27日に妻で女優の角替和枝さんが64歳で亡くなり、今月2日に自ら喪主を務めて家族葬も行ったが、その間の稽古は休まずに参加し、役作りに励んだ。後日、お別れの会を予定し、28日に所属事務所を通して「今はそっとしておいていただければ幸いです」とのコメントを出しただけで、直接話すことは控えていた。

この日は、角替さんが亡くなった後、初めての公演。ノーベル賞作家ハロルド・ピンターの作品で、柄本が演じるのはロンドンにある屋敷の主人役。共演の石倉三郎ら男4人だけの会話劇で、柄本は舞台上に張った水の中を歩き回った後に長ぜりふをこなし、水の中に倒れ込んで全身ずぶぬれになるなど体当たりで演じ、カーテンコールでは何度も深々と頭を下げていた。