タレントにとって、人に「気にさせる」ことは大事な能力なのだと思う。欅坂46の平手友梨奈(17)を見て、より強く感じた。

12月28日、平手は都内で行われた第31回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞の表彰式に出席した。同賞の新人賞を受賞した。

映画初出演で初主演の「響 -HIBIKI-」で、信念を曲げず、建前やごまかしを許さず、時に暴力的な行動にも出てしまうエキセントリックな天才女子高生を演じた。選考会では、独特の「目力」や、原作漫画から飛び出してきたような再現度などを評価され、「また映画に出てほしい」と声があがった。

初めて映画賞を受賞した平手にとっては、本格的な宴会場での表彰式もほぼ初めての経験だった。序盤は緊張気味だったが、円卓の隣に座った白石和弥監督から話しかけられると、笑顔を見せ、ジェスチャーを交えて談笑する一幕もあった。いよいよ壇上にあがると、「はじめまして、平手友梨奈です」とあいさつ。普段欅坂46としてファンの前に立つステージとは違って、多数の映画関係者らが見守る状況を踏まえ、「新人」らしく自己紹介した。

平手に対しては、女優業の継続を願う声が多くあがった。壇上で、司会の露木茂アナウンサーから「次回作にも期待がかかります」と言われた。白石監督からも「ぜひまた映画に出てください」とリクエストされた。

多くの関係者から期待を寄せられ、平手は不思議がっていたが、「響」の月川翔監督からは「既存の枠組みに収まってない人だから。若手の女優を育てて、一人前にして…というのとは全く違う。『この子はこの後何をするんだろう?』と思わせるワクワク感が新鮮だったんだと思う」と分析された。平手は「それで迷惑をかけることもあるし、申し訳ないと思う時もあります」と前置きした後、「自分が譲れないものに共感してくださる方がいらっしゃれば…。監督には、すぐに理解していただきました」と感謝した。

事実、「響」の撮影が始まる前、月川監督は「平手友梨奈さんの名前が挙がったとき、リスクの大きい選択だと思いました。現場が止まるかもしれないし、大変そうだ、と正直思いました」とコメントしている。劇中で演じている天才女子高生、鮎喰響(あくい・ひびき)同様、次に何をするのか分からないハラハラドキドキなところが、平手の魅力の1つなのだろう。

次回作出演の可能性について、平手は「響くらい大好きで、演じたいと思える役があったら、出るのかもしれません。そういう機会があるかは分からないですし、今はまったく予定はないのですが」と話すにとどめた。ただ、「ふみ(共演した北川景子)から、『息抜き程度でもいいから、(映画の現場に)来なよ』って言われたことは、心に引っかかっています」とも明かした。

今後、平手がまた別の映画に出るのかは分からない。出るのかもしれないし、出ないかもしれない。予測は全く不可能だ。予測できないからこそ、気になってしまう。