松本幸四郎(46)が21日、東京:歌舞伎座「六月大歌舞伎」(6月1~25日)で主演する三谷幸喜作・演出の新作歌舞伎(題名未定)の主人公大黒屋光太夫の故郷三重県鈴鹿市を訪れ、光太夫記念館、光太夫供養碑などを見て回った。

みなもと太郎氏の歴史漫画「風雲児たち」を原作に、三谷氏が06年「決闘!高田馬場」以来の歌舞伎に挑む。幸四郎は「またやりたかった三谷さんの新作を歌舞伎座でできるのは幸せなこと。面白いものになると思う」。遭難でロシアに漂着した光太夫を中心に船乗り仲間(市川猿之助、片岡愛之助)、女帝エカテリーナ(猿之助)愛人ポチョムキン(松本白鸚)が登場する。「父はロシア人役で、かなり不安そうでした」。

光太夫は10年かけて帰国し、ロシアのことを日本に伝える役割を果たした。「野心とかがあったわけでなく、漂流というアクシデントの中で運命に身を委ね、純粋に生き抜いた人。新しい年号で最初の新作歌舞伎で、公演に向けていい船出の1歩になった」。