萩原健一さんのお気に入りだった都内のイタリア料理店スタッフによると、最後に来店したのは17日。

「退院して、その足で行くよ」と予約が入ったという。「ちょっとやせたかなと思いましたが、普段通り、召し上がっていました。闘病中だったとは知りませんでした」と突然の訃報に驚いた。萩原さんは「本を書いていて、お気に入りとしてここの店も載ってるから。今後も頼むね」と話していたという。

来店するようになったのは4~5年前。いつも夫人とともに来店し、多い時で1カ月に1回、ランチタイムに訪れていたという。「『食べるものが限られているので、夜になかなか食べられないんだよね』とおっしゃっていたので、体に気を使って、しっかり健康管理をされているのかなと思っていました」。

必ず食べていたのは温野菜のバーニャカウダ。そのほか、スープ、季節の野菜を使ったリゾット、パスタ料理、最近のお気に入りだったローストした牛肉のカルパッチョが、最近の定番メニューだった。スタッフは「通常のボリュームでした。仕上がりが悪い時以外は、残さず召し上がっていました」。最後に来店した17日も、定番メニューを食べていたという。

調理場を通る際、スタッフに「ごちそうさま」「ありがとう」「いつもワガママを言ってごめんね」などと、必ずスタッフに声を掛けていたという。「最初は寡黙で厳しい方かと思いましたが、気さくな方でした。余計なことは話さない方でしたが、お口に合った料理に対しては必ず『おいしいよ』とおっしゃってくださいました」と故人をしのんだ。