芸能記者となって間もないが、真木よう子(36)はこれまでで、取材前と取材後でイメージが一番大きく変わった人物かもしれない。

日本テレビ系ドラマ「ボイス 110緊急指令室」(7月13日スタート、土曜午後10時)の出演のタイミングで、2度の取材機会があった。

正直、取材前はやや戦線恐々としていた。父の反対を押し切って役者の道に進んだことや、口論の末に無名塾を辞めたエピソード、男勝りの刑事をクールに演じている姿を考えると、私が“ぬるい”質問でもしようものなら、ドラマの犯人のように一蹴されてしまうのではないか。いわゆる「取材しにくい人」のイメージを勝手に持っていた。

だが、真木は違った。つたない質問にも、ときに笑顔をまじえ、真摯(しんし)に答えてくれた。一番驚いたのは、初回の取材で、自らプライベートである母としてのエピソードを切り出し、長女との日常を楽しそうに話してくれたこと。他にも、自身のパブリックイメージが「強い女性」であることを認識しつつ、実際は、自分が本当に強いのか迷う時があることなど、とにかく包み隠さずストレートに話す人だった。

後日の制作発表会見でも、ストレートさは変わらず。「オフの日に何をしているか」との質問に、「引きこもってます。(遊びに行ったり)しないですね~。めんどくさい。趣味はないですよね」。カッコつける様子もなく、さっぱりと言うのが、逆にきっぷがいい。私の顔を覚えていたのか、会見を終えて立ち去る際には、こちらに一礼してくれた。そんな律義な面もある。

記憶に残る真木の言葉は「会ったことがない人に、固執したイメージを持たないようにしている」。過去のエピソードも、ストレートで予断を持たず、物事にまっすぐぶつかった結果なのだろう。

私自身は、真木のイメージを勝手に決めつけてしまっていたことを猛省。取材で感じた真木の素顔を、紙面で少しでも届けられればと思う。【大井義明】